夕焼けtimide
リボツナ。
timide=照れ屋
timide=照れ屋
*
*
もう九月も半ばを過ぎたというのに、猛暑の名残か、未だに気温は三十度を越えている。
けれど、それでも夏場のあの茹だるような暑さから考えれば、少しは涼しくなったような気がしなくもない。
日差しはまだ強く照りつけるけれど、風には山の方からくる秋の匂いが混じり、すこしだけ気持ちのいい涼しい風が体を冷ました。
登下校時には夏の盛よりは大分と早くなった日の入りで、六時にもなればすでに辺りは薄暗くなり、紅く焼けていた空もすっかりあとは星を待つだけ、と月が輝いている。
綱吉は隣に座りながら何のコスプレ道具として使ったのか、長煙管で煙草を吸っているリボーンをみやった。
彼はなんとも、視線を感じていてもそしらぬふりをするきらいがある。
現に、さきからちらちらと見ていても、素知らぬふりだ。
.....そういう性癖なんだろうか、
なんて思うけれど、そんなこと口にしたなら、次になにが起こるなんて予想済みなので口が裂けても言わない。
「なーリボーン、それ、美味しい?」
それ、とは煙草を指す。彼はまだ未成年な筈なのに、どうどうとこんな寂れた無人駅でもそこそこ人通りのある国鉄電車のホーム手前の改札前待合室で吸っている。
時折、まだ行ったばかりの電車をそうと知らずにやってきて、改札前に張ってある時刻表をみて小さく「えっうそ、」とつぶやいて、とぼとぼと、歩いて20分はかかる私鉄へと歩いて行く高校生の姿。
あとまだ40分は人の姿はそうそう見えない筈だ。
なんせ、次の電車がくるのはあと50分後なんだから。
それでも、今までに何度か補導員が未成年がここで電車をまつ間たまに煙草を吸っているのを注意しにやってきているのを見ているから、内心すごく緊張してしまっている。
言い訳できないのだから。
(隣にいるのは、まだ年齢的には小学生なんだから。)
「あん?」
返事をするリボーンの声は、ボーイソプラノ、でも少し低めで、なまじ話し方が今年ついに大学を卒業しようとしている自分よりも大人だから、まるでそこにいるのがまだ10歳なのだとは思えない。
「や、それ、煙草、美味しい?」
「んだ、吸ってみるか、」
差し出された長煙管は、細身で、美しい彫り物がされていた。
そして、それを差し出す子供の手も、すこしスマートでほっそりとしているが、美しい指だった。
恐る恐るそれを受け取ると、そっと、口をつけて、吸った。
「ごっほ!ぅえ!」
当然、今まで煙草なんて吸った事は一度も無いから(隼人には悪いけれど、勧められても、いつも断っていた)上手く吸えずに、気管に入った煙にむせてしまった。
それをみてリボーンは、さも嬉しそうに、切れ長の眸を猫のようにほっそりと細めて、笑った。
「、ガキ」
すぐさま長煙管を奪い取って、今度は小さな包みが掌に乗っかった。
首をかしげていたなら、またも笑ったリボーンが、
「飴だ、これで口直ししとけ」
言ってまた煙草を吸い出した。
普段ならあり得ないような優しさが、この寂れた、二人以外いない駅には、とても暖かかった。
「ありがと、リボーン、大好き」
隣にで煙草をふかす、帽子を目深にかぶった黒尽くめ。
その顔が紅く染まっていたのは、この夕焼けのせいか、それとも、そうさらりと言ってみたけれどでも恥ずかしくて穴に入りたいくらいのこの心臓のせいで、視界が紅かったからか。
そっと、手が重ねられた左手がひどく熱かった。
時刻はもうすぐ六時。やがてホームは闇に包まれるだろう。
薄暗くなるホームで二人、電車を待つもの悪くないな、と、照れて思考の廻らない頭でのろのろと考えた。
闇に乗じて唇が寄せられるのまであともう少し。
*
もう九月も半ばを過ぎたというのに、猛暑の名残か、未だに気温は三十度を越えている。
けれど、それでも夏場のあの茹だるような暑さから考えれば、少しは涼しくなったような気がしなくもない。
日差しはまだ強く照りつけるけれど、風には山の方からくる秋の匂いが混じり、すこしだけ気持ちのいい涼しい風が体を冷ました。
登下校時には夏の盛よりは大分と早くなった日の入りで、六時にもなればすでに辺りは薄暗くなり、紅く焼けていた空もすっかりあとは星を待つだけ、と月が輝いている。
綱吉は隣に座りながら何のコスプレ道具として使ったのか、長煙管で煙草を吸っているリボーンをみやった。
彼はなんとも、視線を感じていてもそしらぬふりをするきらいがある。
現に、さきからちらちらと見ていても、素知らぬふりだ。
.....そういう性癖なんだろうか、
なんて思うけれど、そんなこと口にしたなら、次になにが起こるなんて予想済みなので口が裂けても言わない。
「なーリボーン、それ、美味しい?」
それ、とは煙草を指す。彼はまだ未成年な筈なのに、どうどうとこんな寂れた無人駅でもそこそこ人通りのある国鉄電車のホーム手前の改札前待合室で吸っている。
時折、まだ行ったばかりの電車をそうと知らずにやってきて、改札前に張ってある時刻表をみて小さく「えっうそ、」とつぶやいて、とぼとぼと、歩いて20分はかかる私鉄へと歩いて行く高校生の姿。
あとまだ40分は人の姿はそうそう見えない筈だ。
なんせ、次の電車がくるのはあと50分後なんだから。
それでも、今までに何度か補導員が未成年がここで電車をまつ間たまに煙草を吸っているのを注意しにやってきているのを見ているから、内心すごく緊張してしまっている。
言い訳できないのだから。
(隣にいるのは、まだ年齢的には小学生なんだから。)
「あん?」
返事をするリボーンの声は、ボーイソプラノ、でも少し低めで、なまじ話し方が今年ついに大学を卒業しようとしている自分よりも大人だから、まるでそこにいるのがまだ10歳なのだとは思えない。
「や、それ、煙草、美味しい?」
「んだ、吸ってみるか、」
差し出された長煙管は、細身で、美しい彫り物がされていた。
そして、それを差し出す子供の手も、すこしスマートでほっそりとしているが、美しい指だった。
恐る恐るそれを受け取ると、そっと、口をつけて、吸った。
「ごっほ!ぅえ!」
当然、今まで煙草なんて吸った事は一度も無いから(隼人には悪いけれど、勧められても、いつも断っていた)上手く吸えずに、気管に入った煙にむせてしまった。
それをみてリボーンは、さも嬉しそうに、切れ長の眸を猫のようにほっそりと細めて、笑った。
「、ガキ」
すぐさま長煙管を奪い取って、今度は小さな包みが掌に乗っかった。
首をかしげていたなら、またも笑ったリボーンが、
「飴だ、これで口直ししとけ」
言ってまた煙草を吸い出した。
普段ならあり得ないような優しさが、この寂れた、二人以外いない駅には、とても暖かかった。
「ありがと、リボーン、大好き」
隣にで煙草をふかす、帽子を目深にかぶった黒尽くめ。
その顔が紅く染まっていたのは、この夕焼けのせいか、それとも、そうさらりと言ってみたけれどでも恥ずかしくて穴に入りたいくらいのこの心臓のせいで、視界が紅かったからか。
そっと、手が重ねられた左手がひどく熱かった。
時刻はもうすぐ六時。やがてホームは闇に包まれるだろう。
薄暗くなるホームで二人、電車を待つもの悪くないな、と、照れて思考の廻らない頭でのろのろと考えた。
闇に乗じて唇が寄せられるのまであともう少し。
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店名:三日月商會
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