初カツヲ
いい加減描きかけをなんとかしようと思って・・・。大変な季節外れ申し訳ないです。
土日。
土日。
初カツヲ
「おーい菊さん、」
庭先から聞き慣れた男の声が聞こえる。
普段、ここには自分と、一緒にここで住んでいるぽちくんと、たましかいない。
だから、今日は特別だ。
台所の方から、はーいと声を上げると、すぐそこまで、通り庭をこちらへ歩いて彼が来ていた。
「これでいいのかい?あんまりにも出来がいいからよ、迷っちまったい」
彼が手にしているのは、今夜の膳に上げる予定の野菜たちだ。
丹誠込めて作っている野菜だ、味に自身はある。
籠に丁寧に盛られた野菜たちをみて、笑みをこぼした。
「もちろんですよ、サディクさん。やっぱりサディクさんは選ぶのが上手いですね。」
2人して顔を会わせてえへへと笑い合うと、彼はそのまま、いつもの調子で野菜たちを洗い始めた。
彼がここへやってくるのは月に何度も無いが、一度やってくると、一週間は滞在してくれる。
しかし、長期の滞在はとても嬉しいが、彼が帰った後は寂しさで死にそうになるのだ。
「サディクさんって、生魚、食べれました?」
今日のメインは初カツヲで、春のカツヲは油が落ちてさっぱりとした味わいで、たたきにするつもりだ。
おろしと醤油で食べて、その後は定番のお茶漬けだ。
白いご飯の上にカツヲのたたきを乗せて、からしとわさびをちょんとセットし、醤油を回して、あとはお湯なりお茶なり、熱々にしたものをかければ出来上がりだ。
白くかえったカツヲもまた美味しいのだ。
「うん?食べれるにきまってら。俺はここで菊さんが出してくれるもんを食べないなんてこたあねえからな」
「ふふ、そうでした」
どんと胸を叩いて誇らしげに笑っている彼を見て、愛しさが募ってくすくす笑いがこみ上げてくる。
仮面をした目がにこりと微笑んだのがわかり、思い切って彼の頬を撫でると、急におとなしくなって口角が落ちた。
「サディクさん?」
「・・・・卑怯でさあ菊さん。俺がそうされるの、弱いって知っててやってるんだろ?」
「ふふっ、弱いんですか?さあそれは知りませんでした」
笑いながら言うと、彼は仮面をかたっと音を立てて、台所、水場の近くに置いた。
自分だけしか知らないであろうその素顔はまったくもって真剣な顔をしていて、ああ今日の夜は大変な事に成りそうだと頭の中で独り言を言う。
「菊さんには敵わねえな・・・・まったく」
ぽりぽり頭をかきながら彼はぐいと腰を引き寄せてくる。
自然と目を閉じれば、鼻先に彼の甘い香水の香りが霞めた。
(うめえ!やっぱり菊さんの飯はうめえ!)
(そうですか?それは良かった。)
「おーい菊さん、」
庭先から聞き慣れた男の声が聞こえる。
普段、ここには自分と、一緒にここで住んでいるぽちくんと、たましかいない。
だから、今日は特別だ。
台所の方から、はーいと声を上げると、すぐそこまで、通り庭をこちらへ歩いて彼が来ていた。
「これでいいのかい?あんまりにも出来がいいからよ、迷っちまったい」
彼が手にしているのは、今夜の膳に上げる予定の野菜たちだ。
丹誠込めて作っている野菜だ、味に自身はある。
籠に丁寧に盛られた野菜たちをみて、笑みをこぼした。
「もちろんですよ、サディクさん。やっぱりサディクさんは選ぶのが上手いですね。」
2人して顔を会わせてえへへと笑い合うと、彼はそのまま、いつもの調子で野菜たちを洗い始めた。
彼がここへやってくるのは月に何度も無いが、一度やってくると、一週間は滞在してくれる。
しかし、長期の滞在はとても嬉しいが、彼が帰った後は寂しさで死にそうになるのだ。
「サディクさんって、生魚、食べれました?」
今日のメインは初カツヲで、春のカツヲは油が落ちてさっぱりとした味わいで、たたきにするつもりだ。
おろしと醤油で食べて、その後は定番のお茶漬けだ。
白いご飯の上にカツヲのたたきを乗せて、からしとわさびをちょんとセットし、醤油を回して、あとはお湯なりお茶なり、熱々にしたものをかければ出来上がりだ。
白くかえったカツヲもまた美味しいのだ。
「うん?食べれるにきまってら。俺はここで菊さんが出してくれるもんを食べないなんてこたあねえからな」
「ふふ、そうでした」
どんと胸を叩いて誇らしげに笑っている彼を見て、愛しさが募ってくすくす笑いがこみ上げてくる。
仮面をした目がにこりと微笑んだのがわかり、思い切って彼の頬を撫でると、急におとなしくなって口角が落ちた。
「サディクさん?」
「・・・・卑怯でさあ菊さん。俺がそうされるの、弱いって知っててやってるんだろ?」
「ふふっ、弱いんですか?さあそれは知りませんでした」
笑いながら言うと、彼は仮面をかたっと音を立てて、台所、水場の近くに置いた。
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「菊さんには敵わねえな・・・・まったく」
ぽりぽり頭をかきながら彼はぐいと腰を引き寄せてくる。
自然と目を閉じれば、鼻先に彼の甘い香水の香りが霞めた。
(うめえ!やっぱり菊さんの飯はうめえ!)
(そうですか?それは良かった。)
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店名:三日月商會
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