おかしな人
西日
おかしな人
雲の無い空を、飛行機が轟々と音を立てて、細い線を描いていく。
夏の終わりの独特の生臭さのある風が吹き付けて木々を揺らした。
隣で一緒に空を見上げていたポチくんが、切なそうにきゅうんと鳴き声を上げて、空を見上げるのをやめて散歩を再会する。
今日はとても清々しい気分だった。
前日までひどい雨だったのだが、それが近頃胸に溜まっていたもやもやを取り去って行ったかのようなのだ。
「うーん、なんというか、形容しがたい気分です。・・・それに何かに似ているような・・・ポチくんは、分かります?」
歩きながらおとなしく隣を歩くポチくんに言うと、「さあて、僕にはさっぱりわかりません」と言った顔をしている。
「そうですよねえ・・・私が分からないんですもの・・・・」
公園の真横を通って、今度は坂を下り、川岸へ出る。
増水も落ち着いた川の流れを見ながら、一人と一匹でほたほた歩くのは数日雨が続いた所為で久しぶりでもある。
繋がりのある何人かからは、心配の電話がかかってくる程だった。
清々しいのに、どこか心臓の奥の奥がしびれていて風穴でもあいているかのような感覚を覚えて、それが何なのか分からず立ち止まる。
「にほ〜〜ん!探したでぇ~~!」
遠くの方から微かに見知った人の声が届いた気がして、歩いて来た方向に目をやると、急いで追掛けて来てくれたのか、走ってこちらに向かうスペインさんが見えた。
「・・・お迎えですかね、ポチくん」
「きゃわん」
「え、それでわざわざ?・・・なんだか申し訳ないですね・・・」
お茶を茶菓子の横に置きながら言うと、スペインさんは少し目を見開いて驚いた顔を見せた。
「?なんでなん?・・・・ちょっと心配やったで見に来ただけやし、気にする事あれへんで?」
「そう・・・でしょうか」
この人はいつだって、思い立ったらそのまま行動する人だから、豪雨のニュースでも見たのだろう、その時に私の事を心配してくれて、ここまで来てくれたのだ。普通に考えれば、どうしたって電話をかけて確認した方が時間もかからないというのに。
「せやで!あ〜しっかしなあ、日本が無事でよかったわ」
おかしな人だと思うけれど、そんなところも愛しく、そして心強く感じるのだからこれは私自身ももう毒されてしまっているのかもしれない。
こんど、彼のところでなにかあったら、もう何も考えずにただ彼だけの事を考えて飛び出そう。
「ほんでさ、日本、ちょっとこっち落ち着いたんやし、俺んとこ来やへん?なんや最近ほんまに日本恋して死んでまいそうやねん。」
持参したトマトを齧りながら間抜けな顔でそんな事を言う。
だから笑って、
「仕方ないですね、上司には貴方から言ってくださいよ?」
と言った。
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雲の無い空を、飛行機が轟々と音を立てて、細い線を描いていく。
夏の終わりの独特の生臭さのある風が吹き付けて木々を揺らした。
隣で一緒に空を見上げていたポチくんが、切なそうにきゅうんと鳴き声を上げて、空を見上げるのをやめて散歩を再会する。
今日はとても清々しい気分だった。
前日までひどい雨だったのだが、それが近頃胸に溜まっていたもやもやを取り去って行ったかのようなのだ。
「うーん、なんというか、形容しがたい気分です。・・・それに何かに似ているような・・・ポチくんは、分かります?」
歩きながらおとなしく隣を歩くポチくんに言うと、「さあて、僕にはさっぱりわかりません」と言った顔をしている。
「そうですよねえ・・・私が分からないんですもの・・・・」
公園の真横を通って、今度は坂を下り、川岸へ出る。
増水も落ち着いた川の流れを見ながら、一人と一匹でほたほた歩くのは数日雨が続いた所為で久しぶりでもある。
繋がりのある何人かからは、心配の電話がかかってくる程だった。
清々しいのに、どこか心臓の奥の奥がしびれていて風穴でもあいているかのような感覚を覚えて、それが何なのか分からず立ち止まる。
「にほ〜〜ん!探したでぇ~~!」
遠くの方から微かに見知った人の声が届いた気がして、歩いて来た方向に目をやると、急いで追掛けて来てくれたのか、走ってこちらに向かうスペインさんが見えた。
「・・・お迎えですかね、ポチくん」
「きゃわん」
「え、それでわざわざ?・・・なんだか申し訳ないですね・・・」
お茶を茶菓子の横に置きながら言うと、スペインさんは少し目を見開いて驚いた顔を見せた。
「?なんでなん?・・・・ちょっと心配やったで見に来ただけやし、気にする事あれへんで?」
「そう・・・でしょうか」
この人はいつだって、思い立ったらそのまま行動する人だから、豪雨のニュースでも見たのだろう、その時に私の事を心配してくれて、ここまで来てくれたのだ。普通に考えれば、どうしたって電話をかけて確認した方が時間もかからないというのに。
「せやで!あ〜しっかしなあ、日本が無事でよかったわ」
おかしな人だと思うけれど、そんなところも愛しく、そして心強く感じるのだからこれは私自身ももう毒されてしまっているのかもしれない。
こんど、彼のところでなにかあったら、もう何も考えずにただ彼だけの事を考えて飛び出そう。
「ほんでさ、日本、ちょっとこっち落ち着いたんやし、俺んとこ来やへん?なんや最近ほんまに日本恋して死んでまいそうやねん。」
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だから笑って、
「仕方ないですね、上司には貴方から言ってくださいよ?」
と言った。
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