Someone like you
仏日。
風の便りに、貴方が結婚すると聞きました。
貴方の夢が叶って、貴方が幸せになったと。
招待状も貰っていないのに出かけてきたから、きっと貴方は驚くのでしょうね。
恥ずかしがって、頬を染めるんでしょうか、それとも、顔を背ける?
貴方の事だから、私にまだ恋人が出来ていないと知ったら、自分を責めたりするかも知れませんね。
でも、どうか気にしないで下さい。
私も、貴方によく似た素敵な方をきっと、見つけますから。
だから、どうか、どうか、今は貴方の幸せを願えなくたって、許してくださいね。
ああでも、私を忘れないで欲しいなんて、思ってしまうんです。
だって、だって私は貴方をまだ忘れてなんてなくて、あの日から少しも気持ちは進んでいないんですもの。
今だって、貴方の事が・・・・・
「菊ちゃん、平気?」
ここに連れて来てくれたフランシスさんが、心配そうに顔を覗き込んで言った。
あの人が結婚するというのも、彼が知らせてくれたのだ。
だから、私は招待状はなかったけれど、彼のところに来た招待状でそれを知り、ここに居る。
私は無言で頷くと、幸せそうに微笑みながら、笑い合いながらゲストに挨拶をしている2人を見やった。
自分があの人の隣に立っていたのは、もうずいぶん前だというのに、そこから自分は一切進めていない。
何度も同じところをぐるぐる廻って。
まるで迷子のように。
「・・・・・あのね、菊ちゃん。」
「はい、」
「辛かったら、泣いていいんだよ?」
ほらね、この人はとっても優しい。
きっと、この肩が、私の意思に反して、震えているのを知っているからだろう。
彼と出会ったのは、あの人と出会った頃で、私は幸せの絶頂だった。
あの人の紹介で出会って、そこから私の世界は変わったのだ。
あの人を中心にして、いろんな人と出会った。
私の持っている世界、私を今支えている世界は全てあの人に繋がっている。
「・・・・泣いてなんて、いません」
強がったって、声が震えているんだから、隠せやしない。
フランシスさんが、笑った気がした。
彼だけが、心の支えで、良き理解者で、あの人と別れた時だって、真っ先に駆けつけてくれたのだ。
「・・・・・・うん、知ってるよ?」
視界が、滲んで、でも、今はもう目の前はフランシスさんの大きな手しか、見えない。
彼のいつも使っている香水の香り、シャンプーの、ソープの、香りがした。
「ごめんね、菊ちゃん。好きだよ。」
馴れた声が、耳元で低く甘く響いた。
まるで、知らない人の声みたいに。
「・・・・・何言ってるんですか、こんな時にっ・・・・!慰めなら、貴方ならもっといい言葉、知ってるでしょう?」
そう、私があの人と別れた時だって、いつだって、最も欲しい言葉をくれる人。
けれど、フランシスさんは、困った声で、少し声を詰まらせて、言った。
「うん、ごめん。でも嘘じゃないし、慰めじゃないから他の言葉は持ってないんだよね・・・。好きだよ、愛してる」
心臓の奥が震えた。
さっきまでの涙とは違う涙が、後から後から溢れて止まらない。
「・・・・・信じられないっ・・・・あなたっ・・・こんな私の何処が良いって言うんです?こっこんな、私のっ」
無理矢理彼の手を外して、酷い事になっているこの顔を晒して目を合わせれば、彼は悪戯っぽく笑った。
「全部だよ!あいつに紹介される前からずっとね、好きだったんだよ?知らなかった?」
「知りません!・・・っふ、ふふ、貴方って、本当、馬鹿ですね、フランシスさん」
にやっと最後のひと雫が落ちて、涙は止まった。涙を拭って、そう言えば、彼もにやりと笑った。
「知ってるよ!菊ちゃんもね!」
風の便りに、貴方が結婚すると聞きました。
貴方の夢が叶って、貴方が幸せになったと。
招待状も貰っていないのに出かけてきたから、きっと貴方は驚くのでしょうね。
恥ずかしがって、頬を染めるんでしょうか、それとも、顔を背ける?
貴方の事だから、私に素敵な素敵な恋人が出来たと知ったら、自分のした事を後悔するのかも知れませんね。だって、自分の物は自分が捨てても自分の物、なんですものね?
でも、どうか後悔なんてしないでください。
私も、貴方とは似ても似つかない、貴方よりもっと素敵で馬鹿な方を見つけましたから。
だから、どうか、どうか、末永い私の幸せを願ってくださいね。
ああでも、私を忘れないで欲しいなんて、思ってしまうんです。
だって、だって私は貴方が連れ出してくれたこの世界で恋人と出会ったんですもの。私にしてくれた事、ありがとうと笑っていう私を、どうか忘れないで欲しいのです。
「俺の恋人やざ」
まさか、信じられない!
電車内で出会ってからかれこれ何年か。毎回彼と同じ電車に乗る事を密かに楽しみにしていたというのに、まさかこの男に先を越されるなんて思ってもいなかった。
彼と知り合って間もなく、彼のことを狙っている男は沢山居るのだと知った。
なら仕方ないかと「親友」になろうじゃないかと決めたあの時から何年か。
これだけ長い間ずっと好きだったんだ、今度はあいつがハンカチ噛み締めて悔しがるくらいに幸せにしてやるんだから
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風の便りに、貴方が結婚すると聞きました。
貴方の夢が叶って、貴方が幸せになったと。
招待状も貰っていないのに出かけてきたから、きっと貴方は驚くのでしょうね。
恥ずかしがって、頬を染めるんでしょうか、それとも、顔を背ける?
貴方の事だから、私にまだ恋人が出来ていないと知ったら、自分を責めたりするかも知れませんね。
でも、どうか気にしないで下さい。
私も、貴方によく似た素敵な方をきっと、見つけますから。
だから、どうか、どうか、今は貴方の幸せを願えなくたって、許してくださいね。
ああでも、私を忘れないで欲しいなんて、思ってしまうんです。
だって、だって私は貴方をまだ忘れてなんてなくて、あの日から少しも気持ちは進んでいないんですもの。
今だって、貴方の事が・・・・・
「菊ちゃん、平気?」
ここに連れて来てくれたフランシスさんが、心配そうに顔を覗き込んで言った。
あの人が結婚するというのも、彼が知らせてくれたのだ。
だから、私は招待状はなかったけれど、彼のところに来た招待状でそれを知り、ここに居る。
私は無言で頷くと、幸せそうに微笑みながら、笑い合いながらゲストに挨拶をしている2人を見やった。
自分があの人の隣に立っていたのは、もうずいぶん前だというのに、そこから自分は一切進めていない。
何度も同じところをぐるぐる廻って。
まるで迷子のように。
「・・・・・あのね、菊ちゃん。」
「はい、」
「辛かったら、泣いていいんだよ?」
ほらね、この人はとっても優しい。
きっと、この肩が、私の意思に反して、震えているのを知っているからだろう。
彼と出会ったのは、あの人と出会った頃で、私は幸せの絶頂だった。
あの人の紹介で出会って、そこから私の世界は変わったのだ。
あの人を中心にして、いろんな人と出会った。
私の持っている世界、私を今支えている世界は全てあの人に繋がっている。
「・・・・泣いてなんて、いません」
強がったって、声が震えているんだから、隠せやしない。
フランシスさんが、笑った気がした。
彼だけが、心の支えで、良き理解者で、あの人と別れた時だって、真っ先に駆けつけてくれたのだ。
「・・・・・・うん、知ってるよ?」
視界が、滲んで、でも、今はもう目の前はフランシスさんの大きな手しか、見えない。
彼のいつも使っている香水の香り、シャンプーの、ソープの、香りがした。
「ごめんね、菊ちゃん。好きだよ。」
馴れた声が、耳元で低く甘く響いた。
まるで、知らない人の声みたいに。
「・・・・・何言ってるんですか、こんな時にっ・・・・!慰めなら、貴方ならもっといい言葉、知ってるでしょう?」
そう、私があの人と別れた時だって、いつだって、最も欲しい言葉をくれる人。
けれど、フランシスさんは、困った声で、少し声を詰まらせて、言った。
「うん、ごめん。でも嘘じゃないし、慰めじゃないから他の言葉は持ってないんだよね・・・。好きだよ、愛してる」
心臓の奥が震えた。
さっきまでの涙とは違う涙が、後から後から溢れて止まらない。
「・・・・・信じられないっ・・・・あなたっ・・・こんな私の何処が良いって言うんです?こっこんな、私のっ」
無理矢理彼の手を外して、酷い事になっているこの顔を晒して目を合わせれば、彼は悪戯っぽく笑った。
「全部だよ!あいつに紹介される前からずっとね、好きだったんだよ?知らなかった?」
「知りません!・・・っふ、ふふ、貴方って、本当、馬鹿ですね、フランシスさん」
にやっと最後のひと雫が落ちて、涙は止まった。涙を拭って、そう言えば、彼もにやりと笑った。
「知ってるよ!菊ちゃんもね!」
風の便りに、貴方が結婚すると聞きました。
貴方の夢が叶って、貴方が幸せになったと。
招待状も貰っていないのに出かけてきたから、きっと貴方は驚くのでしょうね。
恥ずかしがって、頬を染めるんでしょうか、それとも、顔を背ける?
貴方の事だから、私に素敵な素敵な恋人が出来たと知ったら、自分のした事を後悔するのかも知れませんね。だって、自分の物は自分が捨てても自分の物、なんですものね?
でも、どうか後悔なんてしないでください。
私も、貴方とは似ても似つかない、貴方よりもっと素敵で馬鹿な方を見つけましたから。
だから、どうか、どうか、末永い私の幸せを願ってくださいね。
ああでも、私を忘れないで欲しいなんて、思ってしまうんです。
だって、だって私は貴方が連れ出してくれたこの世界で恋人と出会ったんですもの。私にしてくれた事、ありがとうと笑っていう私を、どうか忘れないで欲しいのです。
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まさか、信じられない!
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彼と知り合って間もなく、彼のことを狙っている男は沢山居るのだと知った。
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これだけ長い間ずっと好きだったんだ、今度はあいつがハンカチ噛み締めて悔しがるくらいに幸せにしてやるんだから
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