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赦しの秘跡

伊日。
赦しの秘跡によって、罪は赦されました。
赦しの秘跡




















「もう平気なの?」
イタリアくんが心底心配げな顔をして覗き込んで来た。
まったくもって平気かと言えば、そうではないが、先日までと比べればかなりの差があるというものだ。
もう起き上がっても平気だし、確かにすこし目眩や頭痛がするし、食欲もさほどないのだが、それでも動けないという訳ではない。
「はい、イタリアくんのおかげです」
笑ったら、彼も花が咲くように微笑んだ。

「そう、ここをこうして、こう・・・・」
日本家屋の特徴とも言える、この薄暗い部屋で、時折吹く涼しい風が風鈴を鳴らすのを聞きながら、2人で鶴を折る。
はじめ、彼が、
「ほんとはね、日本が寝込んでる間に鶴をおってあげようとおもったんだけど・・・おれ、鶴の折り方知らなかった」と言ったのが元だ。
ならば教えてさしあげましょうか、と引き出しの奥の方から折り紙を引っ張りだしてきて、折り紙教室がはじまった。
「ん?こう、かな・・・?」
教えた通りに綺麗にその指先は折り紙を折っていく。
たいていの人が戸惑い紙をくしゃくしゃにしてしまうのにやはり彼はこういったことは得意なんだなと感心してみていたら、ふいに目が合ってあわてて顔ごと折りかけの鶴に目を戻した。

ダリア


金魚
カエル
少しずつ増えていく。カラフルな紙の世界に外界とのコントラストに目を細める。
「ふふっ」
イタリアくんの小さな笑いに、視線を戻すと、彼は見た事も無い顔をしていて、それでもしかしその眸が言わんとしていることは何故だかわかった。
「・・・・どうしました?」
解っているのに、わざわざ聞くのは自分がされていい気分はしないけれど、でも聞きたい。
風で赤い折り紙が吹かれて床に落ちた。
彼は寸の間黙ると、しかしイヤな顔ひとつせず、またにっこり笑った。
「また、同じ時間を過ごせて嬉しいなって思って。あのとき、居なくならないでくれてありがとう。」
消えたくなるくらい辛かったって、俺知ってるよ。
そう付け加えて笑う彼に、こんな惨めな姿をさらし続けて生きながらえる自分の醜さが、誰が、自分が赦せなくても、彼にそう喜んでくれるという事実だけでも生きて行けると思った。
この何十年ずっと引きずってきたものがふっと軽くなった。
「ヴェ!だから!ね、うーーーーーーーんと楽しい夏を過ごそう!ね?」
何だってこの人はいつだって欲しい言葉を欲しいときにくれるんだろうか。
自分がかれにしてやれることなんてちっともないというのに。
けれどそう言ったなら、彼はきっとまたさっきみたいに笑って、
「日本が気がつかないところで、俺は助けてもらってるんだよ」というのに違いなかった。
「そうですね、じゃあ、どうしましょうか?何処へいきます?海?山?街?」
「全部!あ、あと最後に俺の家に来てね!」
忙しいけれど楽しい夏に成りそうだと、あの日から繰り返していた惨劇に終止符を打った。
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