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酒の力を借りたつもりが

ロマ日。
酒の力を借りたつもりが














こんないい天気なのに、どうして室内で辛気くさい顔をした男どもと顔を突き合わせて話なんぞをしなければならないというのだろうか。
こんなに天気がいいなら、サボって家の庭で太陽でも浴びながら昼寝をしたかった。
風は柔らかく、もう春爛漫で、太陽の光をいっぱいに吸い込んだその風は、暖かい匂いがする。南イタリアは年中温暖な気候ではあるものの、やはり春というのは心が浮かれるものだ。
花の蜜を吸う蝶や、黄色い小さな花々、色とりどりの花、どれも目を楽しませてくれる。
だというのに、光ははいるものの、こんな室内に大勢集まった中で、女は数人。ほぼ男。
と、いうか、少なくとも自分の周りに居るのは、視界に入るところには男しかいない。
「あかんで、ロマーノ、ドイツめっちゃみとんで」
こそっと耳打ちしてきたこの男、スペインも、男だ。
頬杖どころか机につっぷした自分に向かって向けられたその注意を受け入れる訳も無い。
無視してそのまま机と仲良く眠る事にした。
頭の中には、燦々と降り注ぐ太陽の光に照らされて、綺麗に晴れ渡った空、風にそよぐ草花の中のんびりと寝転んでいる、そんなイメージが広がった。

「ロマーノ、あかんて。寝たら。もう休憩はいるってゆっとるやん」
良い夢がみれそうだったのに、やはり邪魔をされて、隣を睨む。
すると、隣には、確かにさっきの声の主が座っていた筈だし、反対側には弟が座っていた筈だ。だというのに、睨みつけた隣にいたのは、黒髪と、華奢な体に繊細な造形が特徴の、日本がちょこんと座っていた。
「・・・・あ、すみません、起こしてしまいましたか?」
睨んだというのに、それを全く気がついていないのか、日本は至って普通に返してきたから、余計になんだかバツが悪い。
「え、いや・・・スペインのやろー・・・は、どこに・・・」
「ふふ、ロマーノさん、寝ぼけていらっしゃいます?」
言われて、視線を動かすと、どうやらここは自分の部屋だった。
何も言う事が出来ず、言葉を詰まらせてしまったが、それをどう取ったのか、日本はまたくすくすと笑った。
「れ・・・・どうなってんだ・・・・?あー覚えてねえ」
「覚えていらっしゃらないならそれでも結構ですよ。・・・私はシャワーでも浴びてきますから、まだ寝ていたらどうです?」
わっしゃわっしゃと頭をかいて、頷く。
するり、と衣擦れの音をさせてシーツの中から去って行った日本は、何も纏っていなかった。
その姿を見て、またも呆然とする。
昨夜、一体何があったんだろう。
彼の事はずっとずっと思いを募らせるだけ募らせて、でもイタリア男にあるまじきことだが、思いを伝える事も、弟のように褒めちらかすこともできなかった。
会えば憎まれ口と思われかねない口をきいていたし、弟ばかりを構うと言って、拗ねたこともあった。
しかし、かならずそんなとき、子供扱いをされてきたのだ。
どうして、そう思うのか、というところは、日本はちっとも気にならないようだった。
懐から日本製の甘くない、砂糖を指に付けて舐めるような甘さの飴を出して来て、嫌が応でも歳の差を感じる仕草で、笑顔で、「ロマーノくん」と言って手ずから口に放り入れてくれるのだ。
そしていつからかあんなに欲しくて欲しくてたまらなかった物を、どうやら自分は手に入れたようだというのに、最低なことに、昨夜のことをあんまりおぼえていなかった。

「食欲、ないんですか、ロマーノくん」
目の前に広がる美味しそうな食事を見ても、なんだかお腹がすいていない。
せっかく、日本が作ってくれたというのに、それどころではなくて、口を動かす事も億劫なのだ。
しかし、ここで、昨日何があったのかと訊いてしまっていいのかと、すこしは自分にもそれが良くない事だとわかる。
ああ、どうしてこんなに勿体ないことになってしまっているのだろう。
「ああ、あーなんていうか、食欲が・・・」
「・・・そうですか?ふふ、もしかして、昨日の事、きにしていらっしゃるんでしょうか?だとしたら、そうですね、私たちもいい大人・・・とまあ私は爺ですけど、ロマーノくんだって、大人じゃないですか。まあ、そういうことでもいいですよ?私は・・・とくにこだわりませんから」
何がだ。
例えば、昨日、告白したのだとしよう。好きだ!と。そして、日本と膚を合わせたとしよう。もしそうだとしたら、いい大人の関係にしてもいいって、そりゃあないだろう。特にこだわりないという、それもないだろう。
「おっ、お前、そういうの、やめろ。俺はお前が好きなんだ!昨日の事はあんまり覚えてねえけど、お前が好きだから!その・・・・あー・・・なんだ、だからそういうお前の飄々としてるとことか、もっとちゃんとお前のこと知りたい。」
睨みつけていた白米が、輝いている。
言い切ってから、顔を上げると、日本は見た事の無いような、ああ、例えるなら真っ赤に撓わに実ったトマトになっていた。
「え、あ・・・・の、ロマーノくん、」
「何でお前が照れるんだよ!」
照れるついでに、日本の、箸を握った手を引いて、唇も一緒に奪ってやった。




「で、昨日、何があったんだ?」
「え・・・・いいえ、ロマーノくんたら、服を脱ごうとするので、私が止めにはいったんですが・・・何故か私まで脱がされてしまいまして」
「ちちちちちぎいいいいいいいいいいーーーーーーーーーーーーーー!」
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