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茶色の憂鬱茶色の至福

骸ツナバレンタイン小説。骸とツナのすれ違い。。






「骸さんのばか。大嫌い」


綱吉の言葉が、夜空の下、大きく木霊した。




「な、何ででしょう・・・・嫌われるようなことをしてしまった覚えはないんですが・・・」

骸は深く傷ついた胸に手をやって、窓から、綱吉を思い空を眺める。
昨日の夜に大嫌い宣言をされてから、ずっと空を眺めていたら、いつの間にか日が昇っていた。
一体何をしてしまったのか心当たりのない骸は、今まで何度も嫌いと言われても傷つかなかった自分が不思議に思えるくらいだった。
嫌いという拒絶の言葉に心底傷ついたのは、きっと、それを口にした綱吉の顔が、酷く傷ついた、今にも涙が溢れ出さんばかりの様子だったからか。

「はぁ・・・・・」

本日もうすでに百回はついただろうため息を、また窓の向こうに向けて送り出した。

「骸さーん、学校行かなくていいんれすかー?」

「・・・・・」

扉を開けて、心配そうに声をかけてくる部下二人。

「いいんです。今日は行きたくありません。」

「えー、いいんれすかぁ?うさぎちゃんにお礼しなくてー」

お礼、とは何のことか。
不思議に思って扉から顔だけだして伺う犬に訊ねる。

「お礼って、何の・・・・ですか、」

「骸様、バレンタインの・・・・」

「そうれすよー。確かに日本ではお返しはホワイトデーらけどー絶対翌日直ぐにお礼するのがいいれすよぉー」


(バレンタインの、お礼・・・・・って、)


「待ってください、昨日はバレンタインですけど、綱吉くんから・・・・て・・・」

「、そうれすよーって、うさぎちゃんから何も貰わなかったんれすかぁ?うさぎちゃん骸さんさがしてたのにぃー」

(探してた、・・・・て、僕を、)

確かに、昨日はバレンタインデーで、最近並盛によく顔を出すからか、黒曜と並盛の住人からプレゼントを私に来る女性がひっきりなしで。
貰わないとキャラに反するから、(あとで全部犬にあげるんですけど)全て貰っていたから、どこへ行っても人だかりで。
並盛中の校門でいつも待ち伏せするのだけど、それも出来なくて。
仕方がないから、会いに行くのは夜にしようと。

まさか、いつも校門で待っているから、そこで渡そうとしてくれていたのか。
それとも、帰る途中に。

自分に渡す筈のプレゼントを手にして、期待に綻ぶ顔を見せる綱吉と、哀しみに沈む姿が目に浮かんで、胸が酷く痛んだ。

「綱吉くん・・・・」



「あ、骸さん、学校はどうするんれすかー」



走り出す身体に後から掛けられた声は、もう聞こえなかった。







「骸さんの馬鹿。」
朝起きても、まだこの胸の痛みは消えなくて、がっかりしたというのかなんと言うのか。
プレゼントを渡して、それを見てきっと喜んでくれると甘い想像をしていた自分に腹が立った。
いつも、校門の前で待ち伏せているから、きっと、バレンタインのプレゼントを少し期待して待っているものだと思っていた。
けれど、そんな日に限って骸の姿は見当たらず、折角、獄寺くんのお供の申し出も、山本の誘いも辞退して早々に教室を出たというのに、一人で帰ることになってしまった。
一人で校門を出た途端に、なんだかとてつもなく寂しくなって、悲しくなって、綱吉は不覚にも涙ながら帰ったのだ。
それを、のうのうと夜になってから現れた骸。
ようやく傷も癒えたところだっただけに、また苦い感情が染み出してきて。

「馬鹿なのは俺かな・・・・。」

家を出て足を進めれば、そのうち獄寺くんが合流するだろう。そして学校が近くなれば、山本も合流する。
校門前には雲雀さんが立っているんだろう。
それでもう、いつも通りに戻る。
胸の痛みも忘れるだろう。
綱吉は足早に、獄寺との合流地点に向かった。



「・・・・っ綱吉、くん、」


ぐん、と肩をつかまれて、強引に引き寄せられる。

「な、」

離れようともがいても、後からきつく抱きしめられているから、びくともしない。
そうこうしているうちに、耳元に息がかかって、身体が跳ねた。

「な・・・んだよ、む、くろ、」

「ごめんなさい、綱吉くん。」

押し殺した、切ない声が耳元で囁かれる。
謝罪の言葉に、一瞬にして冷めた綱吉は、勤めて冷たく、

「何がですか、骸さん。」

知らないふりをした。
また、もう一度ごめんなさい、と骸は言う。

「昨日、僕のことを待っててくれたんですよね、昨日は、バレンタインだから・・・。」

何言ってるんですか、バレンタインは女の子が渡す日じゃないですか。
何で俺が骸さんを待ってなきゃいけないんですか、と綱吉が早口でまくしたてても、骸はそれを半分も聞かないうちに、

「犬から、聞いたんです。・・・・・僕のこと、探してくれてたって。」

校門にいなかった骸。丁度商店街で買い物をしていた千種と犬に逢った綱吉は、骸の居場所を聞いた。
いつもは持たない、青い紙袋を持って。

「プレゼント・・・・ください。」

綱吉の耳朶を甘噛しながら言う骸に、頭を振って、

「そんなの、無いです。」

本当は、未練がましくまだ鞄の中に入っている。
けれど、どうしても、今ここで渡す気にはなれなかった。

「嘘です。・・・・鞄の中に、あるんでしょう、」






「ね、綱吉君、愛しています。だから、一度だけ、僕を許してくれませんか。」

優しく、身体を回して、後にいた骸の顔が、正面から間近に迫る。
唇が重なった。

「なんで、泣いてるんですか骸さん。」

「綱吉くんこそ。」

鞄から生チョコの入った箱を取り出す。
箱からチョコを出して、骸の口まで近づけた。
骸は綱吉の指までぱくりと口に入れて、


「美味しいです」


と言って笑った。
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