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コーヒから見える貴方の気持ち

土日。
コーヒー占い^^
コーヒーから見える貴方の気持ち
*現代パラレル?












「コーヒーで占い?」
「ああ、そうでぇ。俺のぁ当たるって評判なんでね、菊さんもどうです?」
最近知り合ったサディク・アドナンという男はとても気のいい男だった。
家からほど近いコンビニエンスストアに寄って、スーパーで夕食の買物をしようと持参した買物かごをぶら下げて歩いているところだった。
隣のアパートに越してきたという彼は、遠い異国からこの街へとやってきたのだという。
初め、その大きな体にたじろいでなるべく会わないようにしようとしていたのだが、存外彼は優しくそして視線と対人の境界線へとするりとはいってくる人なつっこさで気がつくと、互いの家を行き来するようになっていた。
今日も、休日だというのに仕事に出かけていたらしい彼が、コンビニから出てきた自分と鉢合わせして、そこから買物へ一緒に行く事に成ったのだった。
「それは貴方の国の伝統的なものなのでしたっけ?」
「ああ、」
コーヒー占いは粉を漉さないで飲むトルココーヒーだからこそできる技で、沈んで底に残った粉で占うというもので、どこかの国では紅茶の茶渋で占ったりする。日本で言う、茶柱と似たようなものなのかもしれない。まあ、茶柱は立つといい事があるというのだから違うかもしれないが。
「へえ、そうなんですか・・・じゃあ、お願いします。お夕飯の後に、なにか甘いものでも用意しますから、コーヒーで楽しむとしますか?」
「そりゃあいいや。今日も行っていいんで?」
今日も、というのは、もうほぼ毎日そうしているからだ。そのうちアパートの部屋と部屋の境の薄いベニヤに似た壁も取っ払ってしまいそうな勢いである。
「もちろんです」
しかし、もちろんといいながら、少し懸念があった。何が、とは口が裂けても言わないが。だって、彼と知り合って数ヶ月。こんなにも惹かれると思っていなかったのだ。
というか、自分は明らかに彼より年上で、しかも同性である。こんな不埒な感情は露にするものではないと思うのだ。男色の国に生まれた武士の血を受け継ぐ漢・本田。偲ぶ事こそ恋!と心に蓋をしている。

「はあなるほど、お祈りをして、」
「その後、カップにソーサーで蓋、で、三回回してからひっくりかえす、ですぜ」
思いっきり和風なちゃぶ台に似合わないコーヒーカップとチョコレート。
こんなに真剣にコーヒーを飲んだのは初めてかもしれない。
飲み干して、正面のサディクさんを見ると、同じように真剣な顔をしてこちらを見ていた。目が合って、思わずそらしてしまった。
「さあ、いきます。」
かたん。と音を立てて、願い事を唱えて三回回したカップをひっくり返す。
「じゃあ、冷めるまで待っててくだせえ」
はいと返事をして、じっとひっくり返ったカップの底を見つめた。
向こうから送られる真剣な眸が、すこし居心地が悪い。
「もういいやね。・・・・それ、っと」
「ど、どうですか?」
どうせ占いだ。信じていないという訳ではないけれど、たかだか占い、と思っているのも事実。
しかし、サディクさんは真剣なまなざしのまま、こちらをつい、と見た。
「サディクさん?」
「菊さん。」
「はい。」
心臓が嫌に早く脈打つ。もし、本当にこの占いで分かるのなら。占いというのは恐ろしいものだ。心の中で願ったのは、「願いは敵うでしょうか」ということだったのだけれど、もしその「願い」が何かがこのカップに出ているのだとしたら、どうなのだろう。
自分では読み取れないその面をじっと見た。
視線はさらに真剣さを増して、目を合わす事も出来ない。
じりじりと刺すような彼の目線を避けて、畳の目を数えるしかなかった。



「菊さん、俺ぁ、お前さんが好きだ。・・・俺と番いになってやくれねえか」
「ええ?!」
「騙しうちみたいなことしてすまねえ。でもな、この占いでお前さんの気持ちを確認しらら言うって、決めてたんでぇ」
コーヒーの沈殿は、明らかに恋が叶うと告げていた。
その恋心をよせる相手が自分だなんて、なんで自信だと思われるだろうが、運命を信じる身には関係なかった。
答えは聞くまでもない。真っ赤になった顔と潤んだ目がはいと言っている。
きっとこちらも同じ位真っ赤だろうから恥ずかしいが、目をつむって、惚けている相手にキスを送った。
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