豆腐屋さん
伊日。
限りなく短い、ただもうそうした日常の一こま。
限りなく短い、ただもうそうした日常の一こま。
豆腐屋さん
「ねえ、これ何の音?」
外から聞こえてくる、笛に似た音に、耳を澄ます。
プー、ピー、プー、ピー、とそれ以外一切なにも音はしないのに、それだけが通りに響いている。
寝そべっている畳からいいにおいを買いで、胸一杯に吸い込む。ふう、と吸った息を履けば、なんだか眠くなるような安心感がある。その間も、その奇妙な音は続いていて、目の前にいるポチに聞いても、困ったみたいにしっぽを振るだけだ。
日本は今、庭に出ている。裏庭で育てている野菜を収穫するんだそうで、17時ともなれば結構な寒さであるのに、いつもの着物姿で出て行ってしまったのだ。
「イタリアくん!ごめんなさい、そこの引き出しの中から千円札出していただけませんか!」
寝そべっていた縁側のその向こうから、走ってきたのか行きを切らして、日本が言った。
「あ、え?うん!」
焦っているのが分かるから、急いで言われた引き出しから千円札を取り出して手渡す。
そうすると、にっこり笑って、
「あ。そうだイタリアくん、ついでにあなたもいらっしゃいませんか?お好きな物、選んでいいですから」と悪戯っぽく眉をあげる。
何がなんだか分からず、置いてあった下駄を引っ掛けて着いて行くと、裏庭の勝手口から出て、すこし行ったところに、白い車が止まっていて、トランクに何かが積んであるらしく、それの前に立って、日本を見るなり「毎度!」と白い歯を輝かせた。
「日本?」
横を見ると、「貴方の好きな、豆腐屋さんです。こうして、移動販売してくださるんですが・・・さっき、音が鳴っていたでしょう?昔からなんです。豆腐と言えば、あれです」
なるほど、近くに行くと、豆腐や、豆腐からできる油揚やがんもなど沢山のしなが並んでいる。
「これがまた美味しいんです。今日はちょっと贅沢してしまいましょうかね」
スーパーよりも割高な商品もあるのだが、肉厚だったりとか、こだわりがあったりする品はどれもとても美味しそうに見えた。
豆腐料理たちは、思った通り、とても美味しかった。
これぞ日本食、とでもいうのだろうか。油で揚げているのに油臭くなく、そしてさっぱりとしている。
満足いくまで食べて、お茶を飲む。
食後のお茶も、これまた日本のこだわりの一品で、食後にぴったりの味だった。
テレビを付けたら、ちょうどイタリアの景色が映って、びっくりして振り返ったら、日本は照れて笑った。
「うちの国民、あなたの国が大好きなもので・・・・」
温泉と美食をテーマに作られた映像は、自分の国のことながら、とても美しく見えた。
「日本の目にも、俺ってこんな風に映ってるのかな?」
テーブルの上の、白く細い手に手を重ねると、俯いてしまったけれど、小さな「そりゃあ、好きですから」と言う声は、しっかりと耳に届いた。
「ねえ、これ何の音?」
外から聞こえてくる、笛に似た音に、耳を澄ます。
プー、ピー、プー、ピー、とそれ以外一切なにも音はしないのに、それだけが通りに響いている。
寝そべっている畳からいいにおいを買いで、胸一杯に吸い込む。ふう、と吸った息を履けば、なんだか眠くなるような安心感がある。その間も、その奇妙な音は続いていて、目の前にいるポチに聞いても、困ったみたいにしっぽを振るだけだ。
日本は今、庭に出ている。裏庭で育てている野菜を収穫するんだそうで、17時ともなれば結構な寒さであるのに、いつもの着物姿で出て行ってしまったのだ。
「イタリアくん!ごめんなさい、そこの引き出しの中から千円札出していただけませんか!」
寝そべっていた縁側のその向こうから、走ってきたのか行きを切らして、日本が言った。
「あ、え?うん!」
焦っているのが分かるから、急いで言われた引き出しから千円札を取り出して手渡す。
そうすると、にっこり笑って、
「あ。そうだイタリアくん、ついでにあなたもいらっしゃいませんか?お好きな物、選んでいいですから」と悪戯っぽく眉をあげる。
何がなんだか分からず、置いてあった下駄を引っ掛けて着いて行くと、裏庭の勝手口から出て、すこし行ったところに、白い車が止まっていて、トランクに何かが積んであるらしく、それの前に立って、日本を見るなり「毎度!」と白い歯を輝かせた。
「日本?」
横を見ると、「貴方の好きな、豆腐屋さんです。こうして、移動販売してくださるんですが・・・さっき、音が鳴っていたでしょう?昔からなんです。豆腐と言えば、あれです」
なるほど、近くに行くと、豆腐や、豆腐からできる油揚やがんもなど沢山のしなが並んでいる。
「これがまた美味しいんです。今日はちょっと贅沢してしまいましょうかね」
スーパーよりも割高な商品もあるのだが、肉厚だったりとか、こだわりがあったりする品はどれもとても美味しそうに見えた。
豆腐料理たちは、思った通り、とても美味しかった。
これぞ日本食、とでもいうのだろうか。油で揚げているのに油臭くなく、そしてさっぱりとしている。
満足いくまで食べて、お茶を飲む。
食後のお茶も、これまた日本のこだわりの一品で、食後にぴったりの味だった。
テレビを付けたら、ちょうどイタリアの景色が映って、びっくりして振り返ったら、日本は照れて笑った。
「うちの国民、あなたの国が大好きなもので・・・・」
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「日本の目にも、俺ってこんな風に映ってるのかな?」
テーブルの上の、白く細い手に手を重ねると、俯いてしまったけれど、小さな「そりゃあ、好きですから」と言う声は、しっかりと耳に届いた。
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西條事情
店主:西條
リンク:同人サイト様のみ
店名:三日月商會
アドレス:http://blaueterra.blog.shinobi.jp/
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