こんな始まり
仏日。
あさちゅん
あさちゅん
こんな始まり
目が覚めたらいわゆる朝ちゅんのシチュエーションで、きちんと閉じられていない障子の隙間から燦々とした太陽の光が道を作っていて、それをたどって自分の胸にまわされている、自分のものとは明らかに違う、白くそして大きいながらも美しい手に気がつき、瞠目した。
何だっけ、何があったんだっけ、と思い返してみると、昨日は色々な事があって、落ち込んでいたのだ。そこに、フランスさんが親身になって聴いてくれて、慰めてくれて、おいおい泣いたのだ。それで、そのままじゃだめだ、と家に帰り、酒をしこたま飲んだ後、何となくそういう雰囲気になって事に及んでしまったのではなかったか、という答えに行き当たる。
(何となくそういう雰囲気って何ですか、そういう雰囲気って!!)
自分がそういうのに流されやすい人間というのは分かっていたが、それはその、仕事などの部分の話であって、そちら方面で言うなれば安くない、軽くない、貞淑、な筈だったのだ。
確かに、自分は彼に密かに、密かに。理性の上では淡く消えそうな物であるが慕情を抱いてはいたが、こんな結末、こんなイベントは求めていない。寧ろ、偲ぶことこそ恋というものとすら思っていたのだから。頭を抱えても時間を巻き戻すことなんて、出来ないのだ。
「ん、日本…?起きたの?」
そうっと起きて朝食の準備をして、無かったことにしてしまおうという計画は、すぐに後ろからかけられた声で消え失せた。
「あ、ああああの、お、おはようございます」
みっともなくつっかえた声にぷっと吹き出しそうである。もちろん、こんな状態でなければ、の話だが。
「ん~、おはよう、日本。」
相手はというと、至って普通で、甘いにおいをさせながら、甘い空気を振りまいている。
「あのさぁ、…日本、昨日のこと、覚えてる?」
耳元で息を吹きかけながら言う彼の言葉に鳥肌がたった。
「えっと…あの~、なんですっけ?」
考えた末、しらばっくれることにした。というか、勝手に口がそう言ってしまった。大人気ない、というか、ひどいことなのかもしれないが、彼だって覚えてないかもしれないではないか。
ここは恐らく、知らないふりをして、あ、多分酔って服を脱いでしまったんですね、ははは、と言って流すのが一番なのだ。しかし、そう言った途端、彼は背を向けていた筈のこの体をどうやったのかうまいこと向かい合わせると、
にっこり笑った。後ろ側に薔薇とエッフェル塔が見える。
「うん、そう言うと思った。だからもう一回言うよ?今度知らないふりしたらお兄さん無理やり犯しちゃうからね。」
「はっ?」
知りません、覚えていません、ああ、そうなの?じゃあまあいっかぁ…で流されると思ったのは大きな間違いだったようだ。しかも、彼はそうやって無かったことにしようとするんだと言うのを予想していたということで、更に訳がわからなくなる。
「愛してる、」
あれこれ考えている一瞬のうちに、告げられた愛の言葉。
どうした、何がどうなった。
「ちょ、え…?…え?」
朝起きてから突然のことが多発しすぎて、もう、何が何やら分からない。脳みそも悲鳴をあげている。
ゆっくりゆっくり噛み締めて、言葉の意味を考えて、ようやく理解した頃には、再び大きな手のひらに翻弄されていた。
こんな始まり方でいいのか、とも思うが、始まったんだからいいか、とまた暢気に快楽の波に流されることにして、目を伏せた。
目が覚めたらいわゆる朝ちゅんのシチュエーションで、きちんと閉じられていない障子の隙間から燦々とした太陽の光が道を作っていて、それをたどって自分の胸にまわされている、自分のものとは明らかに違う、白くそして大きいながらも美しい手に気がつき、瞠目した。
何だっけ、何があったんだっけ、と思い返してみると、昨日は色々な事があって、落ち込んでいたのだ。そこに、フランスさんが親身になって聴いてくれて、慰めてくれて、おいおい泣いたのだ。それで、そのままじゃだめだ、と家に帰り、酒をしこたま飲んだ後、何となくそういう雰囲気になって事に及んでしまったのではなかったか、という答えに行き当たる。
(何となくそういう雰囲気って何ですか、そういう雰囲気って!!)
自分がそういうのに流されやすい人間というのは分かっていたが、それはその、仕事などの部分の話であって、そちら方面で言うなれば安くない、軽くない、貞淑、な筈だったのだ。
確かに、自分は彼に密かに、密かに。理性の上では淡く消えそうな物であるが慕情を抱いてはいたが、こんな結末、こんなイベントは求めていない。寧ろ、偲ぶことこそ恋というものとすら思っていたのだから。頭を抱えても時間を巻き戻すことなんて、出来ないのだ。
「ん、日本…?起きたの?」
そうっと起きて朝食の準備をして、無かったことにしてしまおうという計画は、すぐに後ろからかけられた声で消え失せた。
「あ、ああああの、お、おはようございます」
みっともなくつっかえた声にぷっと吹き出しそうである。もちろん、こんな状態でなければ、の話だが。
「ん~、おはよう、日本。」
相手はというと、至って普通で、甘いにおいをさせながら、甘い空気を振りまいている。
「あのさぁ、…日本、昨日のこと、覚えてる?」
耳元で息を吹きかけながら言う彼の言葉に鳥肌がたった。
「えっと…あの~、なんですっけ?」
考えた末、しらばっくれることにした。というか、勝手に口がそう言ってしまった。大人気ない、というか、ひどいことなのかもしれないが、彼だって覚えてないかもしれないではないか。
ここは恐らく、知らないふりをして、あ、多分酔って服を脱いでしまったんですね、ははは、と言って流すのが一番なのだ。しかし、そう言った途端、彼は背を向けていた筈のこの体をどうやったのかうまいこと向かい合わせると、
にっこり笑った。後ろ側に薔薇とエッフェル塔が見える。
「うん、そう言うと思った。だからもう一回言うよ?今度知らないふりしたらお兄さん無理やり犯しちゃうからね。」
「はっ?」
知りません、覚えていません、ああ、そうなの?じゃあまあいっかぁ…で流されると思ったのは大きな間違いだったようだ。しかも、彼はそうやって無かったことにしようとするんだと言うのを予想していたということで、更に訳がわからなくなる。
「愛してる、」
あれこれ考えている一瞬のうちに、告げられた愛の言葉。
どうした、何がどうなった。
「ちょ、え…?…え?」
朝起きてから突然のことが多発しすぎて、もう、何が何やら分からない。脳みそも悲鳴をあげている。
ゆっくりゆっくり噛み締めて、言葉の意味を考えて、ようやく理解した頃には、再び大きな手のひらに翻弄されていた。
こんな始まり方でいいのか、とも思うが、始まったんだからいいか、とまた暢気に快楽の波に流されることにして、目を伏せた。
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