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日常と非日常

伊日。
今日から仕事ですな私の気分を伊日に変換して表現してみました。
日常と非日常











「じゃあ、またね!」
手を振って、分かれがたい恋人を残して空港の中、ゲートをくぐる。
年末と元旦を海外で過ごした人々の波の中、この心とは裏腹に現実は厳しく、自国へ戻らなくてはいけない。
飛行機の搭乗券をじっと眺めた。
彼が付けてくれたVIP用案内係が人のいい笑みを浮かべてこちらです、と案内を始める。
行きたいのは飛行機の方じゃなくて、いま背を向けてきた彼の元だよ、と心の中でひとりごちた。
飛行機は彼の体、日本の地上から離れて行く。
見下ろす日本の土地は、自分の国とも違って、戦争で焼かれ、そしてまた復活したというのをありありと思わせるように、緑は少なかった。
一面茶色の屋根の景色。向こうの方に山が見える。
この下に、彼がいるのに、そう思うのだけれど、仕方の無い事なのだ。
分かれるとき、いつもこんな気持ちに成る。たぶん、彼が自国にやってきて、帰って行くときもそうだと思う。そうであって欲しい。
12時間の旅は滞在中を、そして彼を思いだして胸を痛くするのに十分な時間だ。
なんと言っても、向こうに着くまでは連絡もできない。
手荷物の中、彼が持たせてくれたふろしき包みを取り出して、丁寧にそれを机の上に置いた。
上物だというのがすぐに分かる手触りの風呂敷は、描かれている柄も繊細で美しい。
井草の匂いが鼻をかすめる。
機内食を運んできたアテンダントが、「お茶かコーヒーはいかがですか」と言った。


着いて早々、携帯電話の電源を入れて、時差も考えずに電話をかける。
こちらが夕方だから、向こうは深夜を廻っている筈だ。
それにも関わらず、少しかすれた声が電話口に姿を現した。
「はい、・・・イタリアくん、無事にお着きですか?」
もしもし、俺だよ、という前に、一番にそれを言うあたり、彼は本当に素敵だ。
「うん、ちゃんと着いたよ!・・・・なんだか、もう日本が恋しくて。ああ、日本に早く会いたいなあ〜〜」
素直にそう言う。頭の中は、本当に、彼の事でいっぱいなのだ。
「ふふ、そうおっしゃらず。来月は私をイタリアに招待してくださるんでしょう?ひと月も自国を離れてしまうのは心配ですけど、貴方の誕生日までそちらにいますから」
すごく、楽しみにしているんですから、その言葉が、とても胸に響いた。
ああそうだ、誕生日には何をしてあげようか。もう何回目か知れない誕生日。普通の人間ならきっともうマンネリしているのかも知れない。というか、人間なら60回以上、恋人もしくは夫婦が誕生日のお祝いをし合うなんてことは滅多にないに違いない。
「ヴェ〜!楽しみにしてるからね!楽しみにしてて!お休み、アモーレ!」
電話越しにキスを送って、日本の、「なっあなた!」というどんな表情か見なくても分かる声を聞いてから、受話器を置いた。
風呂敷の中に丁寧に包まれていた、秋葉原で、欲しい欲しいと言っていたデジカメを手に取って、来たばかりの空港を画面におさめた。
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