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お終いに向かうある日

伊日。
これでお終い、これで始まりの序的ななにか
お終いに向かうある日








「イタリアくんって、すごく女性が好きですよね」
突然そんなことを言われて、戸惑ってしまって、目を見張った。
「ヴェ・・・?あ、え〜と、うん?」
反射的に頷いたのだけれど、まだ頭は付いてこなくて、曖昧な返事になったのを何を勘違いしたのか、日本はふふっと笑ってまた突飛なことを言う。
「いいんですよ、気にしなくて。あなたがそういったかただっていうのは初めてあったときから存じ上げていますから」
どうやら、戸惑ったというのは正しく伝わったらしいのだが、そこから先の感情は伝わることはなかったみたいだ。
「ヴェ〜、にほん?」
「いえ、責めるつもりは全くありませんからご安心くださいな。ただ、なのにどうして貴方はさっきみたいに、私に好意を表してくださるのかがわからなくて・・・。」
確かに日本は、さっきもそうなのだけれど、いくら「好きだよ」「愛してる」と言っても、振り向いてくれないし、初めこそ真っ赤に成って口をぱくぱくさせてくれたのに、今では、少し顔をこわばらせながらも「ありがとうございます」とだけ返してくるようになった。もうすでに、彼の中では挨拶程度に成ってしまったのかもしれない。
「どうしてって・・だって、好きなんだもん」
確かに、女の子に声をかけるのはしょっちゅうで、成功したときはデートをしたりもする。でも、それはイタリア人男のステレオタイプな自分にとって、ごく当たり前のことだし、そうしないことは女性に対してとっても失礼にあたるのだ。
けれど、いくら女性に声をかけて、デートをしても、本命は上手くはいってくれない。出会って何年もするのに、未だに進展しそうにもない。
敵が増えるばかりで。
「・・・女性と私では比べ物に成らない気がするんですけどね」
心底、分からないと首を傾げている。むしろ、こちらはどうしてそんなことを言い出したのかも分からない。
「そんなことないよ、だって、日本はとっても優しいし、それに、料理も上手でしょ?それに上品だし、ミステリアスだし、えっと、まだまだあるんだけど・・・・日本?」
「・・・そこまでで結構です」
考え込んでいたのを顔を上げたら、真っ赤になっているのが分かった。
ここ最近、愛しているの言葉さへさらりと流すようになっていた彼にしては、とても珍しい一面で、思わず嬉しくなってしまった。
「ねえ、日本はさ、俺のこと、好き?」
斜め下の日本を覗き込むようにして言う。日本はさっと顔を背けて、答えようとしない。
「じゃあさ、俺のこと、嫌い?」
「そんな訳ないでしょうが」
これには即答してくれる。
へにゃっと、自分の顔が崩れるのが自分でも分かる。
「ありがとう日本、俺のこと好きになってくれて!俺たち、ず〜〜〜〜〜っと、友達だよね!」
嬉しさのあまりその小さな体をぎゅっと抱き込めば腕の中からあわわ、とかちょ、こら、とか焦った声が聞こえてくる。嫌いじゃないなら、好きでいいよね、そう思う。
確かに、女の子の方がふわふわしていて柔らかいし、いいにおいもするけれど、日本の落ち着いたこの匂いもすごく魅力的だと思うし、小さく華奢で、すこし骨っぽいところも、とてもいいと思う。どんなに着飾った女の子でも、この日本には敵わない、そう思ったのだ。日本はまだ、腕の中でなんで私が、とか、意味が分かりませんとか言っている。
今はまだ、このまま冗談とか、愛と恋と、ライクとラブの違いをはっきりさせないままでもいいと、思った。今は、まだ。けれど、いずれ、こんな曖昧な関係に終止符をうつ時がくるのだろうけど。
それまではまだ、ずっと友達でいよう。
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