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ソオダ水越しの世界

伊日。
日本がやたら鬱々していて意味不明です。
ソオダ水越しの世界










柔らかい日差しが、レースのカーテン越しに部屋の中を仄明るく照らす。
灯りの無いこの部屋に差すその光は、窓に映る碧い空を反射して、部屋の中はこの、汗をかいて白いテーブルクロスに染みを作る青いソオダ水の中にいるみたいだ。
ぷくぷくと時折泡を浮き上がらせるソオダ水。
薄青い瓶のなか、向こうを覗けば、空を眺めるあなたが滲んで、歪んで見えた。
まるで、この世界が、ソオダ水を隔てて二つに別れてしまったように感じて、二人の絆だとか、愛だとか、全部が泡になって消えてしまいそうだと思った。
庭で揺れる真っ赤な凌霄花が風に撫でられて、頷くみたいに揺れた。
その、外を見る輝く瞳が、こちらを見やしないかと、やさしい手が、頭を撫でてはくれやしないだろうかと、胸を高鳴らせながら、歪んだ世界の向こうから、じっと見つめた。
時が止まったようにゆっくりとすすむ。
一向に動く気配のない向こう側の世界の景色に、じんわりと足の先から冷えた空気が入り込んで、どこかしらゾワリと鳥肌を立てた。
しかし、ソオダ水越しに、彼が口を開くのが見えた。
「ねえ、日本、出かけようか?」
見れば、歪んだ世界の向こうで、彼は笑ったようだった。
張りつめた、と言えば語弊があるけれど、じっとして岩のように動かない重たい何かを滲ませた空気が、かれのそのふっと笑ったひと息で、何も無かったかのように、さらっと消えてしまった。
返事をするのも忘れて、瓶越しに彼を眺める。また、笑ったのが分かる。
「日本?」
「・・・・はい。」
「出かけるの、嫌?」
「いいえ」
返事を返さないことに不安に思ったのか、彼はすこしそれを声に滲ませながら言った。けれど、もちろん、嫌な訳が無い。断る理由も無い。
「そう?よかった!ね、どこに行きたい?」
また、遠く窓の外を見ながら彼、イタリアくんは呟く。
彼の眸はこちらを捉えることはないのだろうか。彼の眸の中に自分のこの黒々とした姿が映るのが、とても好きなのに。
「イタリアくん、」
呼べば、楽しそうに「うん?なあに、日本」という声が聞こえる。
何故だか、少し、息が詰まった。
2人でいるのは幸せな筈なのに、ときどきこうして、息が詰まる。
それは彼の愛が重たいとか、そういうことではないとは思う。
反対に、自身の彼への独占欲とか、醜い感情に息が詰まるのだ。
彼はいつだって純粋で、横道にそれないまっすぐな気持ちを伝えてくる。
それは、自分の持つ曲がりくねって絡まり合って、どこになにがあるのか本質はなになのか分からない感情とは違いすぎるのだ。
そして、それを彼に打ち明けたら、きっとこの関係は終わってしまう。
彼の好きと、こちらのいろんな物が混じり混じった好きとは、多分違う物なのだから。
「・・・・好きです」
言葉に詰まりながら、ソオダ水の向こうの王子様に向かって言う。
返事は、いらない。欲しくない。言葉にしたら、彼のその綺麗な感情は急速に色を失って枯れてしまうから。
けれど、彼はそれを解さずに、言う。
「うん、俺も、日本が好きだよ。」と。
ふいに、2人を隔てていた水色の瓶が、取り除かれる。
時折泡を持ち上げていたソオダ水も、青色の歪んだ世界も消えて、目の前には、白いテーブルクロスに、窓からさす、空を反射した青色の光、レースのカーテン、そして、そして。
「ーーーーーっ!」
燃えるような熱を孕んだ、眸でこの身を焦がさんと見つめる、彼がいた。
手には、なんとか2人を隔てていたソオダ水の瓶が握られていて、彼はそれをそっと窓際に置いた。
彼の口が、ゆっくりと動く。
「あいしてる、」
それと同時に、視界は彼の手によって遮られて、分かるのは唇に感じる温かな彼の唇と、口の中に熱く這う舌だけ。背筋を何かが駆け抜けて、気がついたときには見慣れた彼の寝室にぐったりと寝転んでいた。

窓辺に置かれたソオダ水の瓶は、窓辺で光を集めている。
世界を二つに別つそれの、向こう側とこちら側。
求められぬなら知りたくもないと思っていたこちら側の世界は、思うよりも華やぎ、色彩は極彩色で目にまぶしい位。
目を開いても、ここが現実であるとは思えないほど。
「日本、ご飯できたよ!」
イタリアくんは、手にパスタを盛った皿を持って、にっこりと微笑んだ。
「はい、今行きます!」

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イメージソングはのうぜんかつらで、京都にあるソワレの店内なイメージです。…鬱々とした日本と日本と二人で居られて嬉しいななイタリアのこの温度差に萌えます。…でも多分温度差っつったって外見は差があるように見えるし、日本もそう思ってるけど実際はおんなじくらいなんです。
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