メルカート!
伊日
メルカート!
「イタリアくん、こっちはなんですか?」
にぎわうメルカートの中を、二人、衆目を気にせず手をつなぎながら、歩く。
ここでは、日本のような人は、明らかに女の子に見えるから、というめちゃくちゃな理由でなんとか承諾してもらったのだ。
着物を着ていない、洋装の日本は、華奢さが強調されて、はじめて会ったときにも女の子と間違えたくらいだから、ズボンを履いていても気がつく者は少ないだろう。
お洒落好きな国だけあって、今日の服装もとてもお洒落で、
けれど、ふんわりとしたサルエルパンツの裾からちらりと覗く足首も細く、上に着たダウンジャケットに耳当て、という洋装は、明らかに女の子、だ。
見とれていると、嫌が応にも、日本に注がれる視線に気がついてしまう。
最近は観光でよくみかけるようになった日本人も、こうして日常生活の場にいることは珍しいのかも知れないが、その中の視線の殆どは、舐めるように見る値踏みの視線なのだった。
居心地が悪いけれど、気分は悪くない。
「あ、イタリアくん、あそこ見たいです」
「ヴェ、了解であります!」
隣にいるのが、大好きな日本なのだから。
「ねえ、日本、俺、いまーー、」
はっと隣を見ると、さっきまで手をつないでいた筈の彼がこつ然と消えていた。
あたりを見回しても、あまりの人の多さに、一瞬では判断できない。
冷や汗が米神を伝って流れる。
メルカートは地元の人間でも、大好きではあるが警戒心を忘れては行けない、そんなところなのだ。
まして、彼のことだ。
人さらいに会わないとも言い切れない。
最近、どこからか流れ着いてきた組織的なごろつきが、異国の人間とみて金を捲し立てたり、財布を盗んだりすると報告がきているのだ。
「日本?日本!」
焦って走り出す前に、丁度斜め前のすぐ向こう、すこし遠いところに、黒髪の小さな東洋人が、店主になにかを捲し立てられてキョロキョロとあたりを見回しているのが見えた。
「ベッラ!こっちの魚はどうだい?採れたてで新鮮だし、今が一番美味しいじきだ。これを二つで、こっちのイカをおまけだ。なんならこっちの小魚もおまけにつけてやる!」
「は、はあ・・・困りました・・」
「困ったのは、こっちだよ、日本〜〜!ヴェ、俺、どこいったのかと思って心配したんだからね!」
案の定、店主に褒めちぎられ、おまけを沢山つけるから買わないかとアピールされていたところだった。
この店主には、心底感謝したいところだ。
あと一歩で、このメルカート中を走り回って不審者をボコボコにするところだった。
「お!なんだ、どうだい、旦那。可愛い奥さんの為にさ、」
「奥さん?!私はおーー」
「うん、貰うね!さっき言ってたおまけ、ちゃんとつけて、」
にっこりと笑って、お金を差し出した。
大量の荷物を抱えながら、石畳をたん、たん、と言わせながら、二人してゼイセイと息を荒くしながら門を開けると、待ってましたと言わんばかりにポチがお行儀よく近寄ってくる。
「ごめんなさいね、ポチ君、ちょっと待ってください・・・爺は今、手が塞がっているんです・・」
「そうだよ、ポチ、俺もちょっと腕が千切れちゃいそうだよ〜〜!ヴェ、日本、それはそこに置いていいから、」
買い込みすぎたメルカートの戦利品にほくほくしていたのは帰路についたその初めだけで、あとは千切れそうな腕と、限界でぷるぷると震える腕を叱咤しながら、会話もそこそこにここまで歩いてきたのだ。
どさり、と荷物を床において、腰を叩く日本を確認してから、家の扉を開ける。
広々とした家に、またキラキラした物が満ちて行くのが分かった。
「す、すみませんイタリアくん・・・ちょっと買いすぎてしまいましたかね・・?」
あまりの荷物の多さにしゅんとなった日本は、こちらを見てすまなさそうにそういう。
「ヴェ、そんなことないよ〜!これで、日本が家にいる間、買物に行かなくて済むから俺は嬉しいよ〜〜!」
笑えば、日本も花を咲かせるように、笑った。
「イタリアくん、こっちはなんですか?」
にぎわうメルカートの中を、二人、衆目を気にせず手をつなぎながら、歩く。
ここでは、日本のような人は、明らかに女の子に見えるから、というめちゃくちゃな理由でなんとか承諾してもらったのだ。
着物を着ていない、洋装の日本は、華奢さが強調されて、はじめて会ったときにも女の子と間違えたくらいだから、ズボンを履いていても気がつく者は少ないだろう。
お洒落好きな国だけあって、今日の服装もとてもお洒落で、
けれど、ふんわりとしたサルエルパンツの裾からちらりと覗く足首も細く、上に着たダウンジャケットに耳当て、という洋装は、明らかに女の子、だ。
見とれていると、嫌が応にも、日本に注がれる視線に気がついてしまう。
最近は観光でよくみかけるようになった日本人も、こうして日常生活の場にいることは珍しいのかも知れないが、その中の視線の殆どは、舐めるように見る値踏みの視線なのだった。
居心地が悪いけれど、気分は悪くない。
「あ、イタリアくん、あそこ見たいです」
「ヴェ、了解であります!」
隣にいるのが、大好きな日本なのだから。
「ねえ、日本、俺、いまーー、」
はっと隣を見ると、さっきまで手をつないでいた筈の彼がこつ然と消えていた。
あたりを見回しても、あまりの人の多さに、一瞬では判断できない。
冷や汗が米神を伝って流れる。
メルカートは地元の人間でも、大好きではあるが警戒心を忘れては行けない、そんなところなのだ。
まして、彼のことだ。
人さらいに会わないとも言い切れない。
最近、どこからか流れ着いてきた組織的なごろつきが、異国の人間とみて金を捲し立てたり、財布を盗んだりすると報告がきているのだ。
「日本?日本!」
焦って走り出す前に、丁度斜め前のすぐ向こう、すこし遠いところに、黒髪の小さな東洋人が、店主になにかを捲し立てられてキョロキョロとあたりを見回しているのが見えた。
「ベッラ!こっちの魚はどうだい?採れたてで新鮮だし、今が一番美味しいじきだ。これを二つで、こっちのイカをおまけだ。なんならこっちの小魚もおまけにつけてやる!」
「は、はあ・・・困りました・・」
「困ったのは、こっちだよ、日本〜〜!ヴェ、俺、どこいったのかと思って心配したんだからね!」
案の定、店主に褒めちぎられ、おまけを沢山つけるから買わないかとアピールされていたところだった。
この店主には、心底感謝したいところだ。
あと一歩で、このメルカート中を走り回って不審者をボコボコにするところだった。
「お!なんだ、どうだい、旦那。可愛い奥さんの為にさ、」
「奥さん?!私はおーー」
「うん、貰うね!さっき言ってたおまけ、ちゃんとつけて、」
にっこりと笑って、お金を差し出した。
大量の荷物を抱えながら、石畳をたん、たん、と言わせながら、二人してゼイセイと息を荒くしながら門を開けると、待ってましたと言わんばかりにポチがお行儀よく近寄ってくる。
「ごめんなさいね、ポチ君、ちょっと待ってください・・・爺は今、手が塞がっているんです・・」
「そうだよ、ポチ、俺もちょっと腕が千切れちゃいそうだよ〜〜!ヴェ、日本、それはそこに置いていいから、」
買い込みすぎたメルカートの戦利品にほくほくしていたのは帰路についたその初めだけで、あとは千切れそうな腕と、限界でぷるぷると震える腕を叱咤しながら、会話もそこそこにここまで歩いてきたのだ。
どさり、と荷物を床において、腰を叩く日本を確認してから、家の扉を開ける。
広々とした家に、またキラキラした物が満ちて行くのが分かった。
「す、すみませんイタリアくん・・・ちょっと買いすぎてしまいましたかね・・?」
あまりの荷物の多さにしゅんとなった日本は、こちらを見てすまなさそうにそういう。
「ヴェ、そんなことないよ〜!これで、日本が家にいる間、買物に行かなくて済むから俺は嬉しいよ〜〜!」
笑えば、日本も花を咲かせるように、笑った。
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店主:西條
リンク:同人サイト様のみ
店名:三日月商會
アドレス:http://blaueterra.blog.shinobi.jp/
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