忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

記憶は悪夢、そして弔い

立日。
11月2日は死者の日。なくなった人が帰ってくる、日本のお盆、みたいなもんでしょうか。
記憶は悪夢、そして弔い






もう、季節は10月も半ばを過ぎてしまった。
あとは、ただ、今年の終わりをしずしずと待つだけで、11月に迫っているヴェリネスが憂鬱だ。
毎年、この時期になると、悪夢をみるのだ。長い間支配され、虐げられてきた傷も、虐殺事件の傷も未だに癒えていないし、何より、長い間支配され続けた間に失った物が大きすぎた。失った人間の帰りを待つには、待つべき人が多すぎたのだ。
人の行き交うプラットホームで、呆然としながら、電車に飛び乗っていく人を見る。
電車のなかにぎゅうぎゅうに詰まっている、人、人、人。その様子に、あの、大量流刑の様子が目前によみがえる。流刑、虐殺、流刑、虐殺。二度に渡って繰り返されたその残虐な行為をありありと思い出して、頭の上に重しをのせたみたいに、頭痛がする。吐き気もする。
手の先から、温度が消えた。涼しいのに、一筋、汗が米神を伝って行くのが変わった。うまく、息ができなかった。
「・・・リトアニア、さん?」
暗く、重くのしかかっていた空気が、瞬時にして吹き飛んだ。
「あ。・・・・日本、さん・・・」
白いビニール袋を持って、心配そうにこちらを伺っている。
そうだった、今、自分は日本にいて、これから何週間か、とどまる予定なのだった。そして、今は自分の希望で、大阪に向かう新幹線を待っているところだったのだ。
「すみません・・・なんでも、ないんです・・・」
指先は、急に熱が流れたためか、すこし、湿っていた。
かすれてしまった声に、悟るということを得意にしている、気遣いの国である彼は、分かってしまったのかもしれない。同じようにベンチに座ると、白いビニール袋から、さっき買ってきたのであろい、ペットボトルの飲み物をそっと握らせてくれた。
「・・・無理は、しなくていいんですよ。私たちの誰にも、そういう記憶はつきものですから。私も、毎年夏には悲惨なことになっているの、ご存知でしょう?」
その通りだった。
今年も、去年も、一昨年も、彼はあの壮絶な戦いの後から、毎年夏になると、起き上がることもできないくらいに体調を崩してしまう。
もうすっかりかせてしまった筈の傷跡が、ばっくりと開いて、血を流すのだ。
何度も何度も、灼熱に抱かれ、身を切られ、伏し、何度も終戦を迎える彼に、いつも、泣くこともしない彼に代わってなくのだから。
「そう、ですね・・・。」
「いつも、夏になると来てくださるじゃないですか、とても、助かっているんです。ですから、これからは、私にも、貴方の力にならせてください。」
「そんな・・・こんな所、見せられないですよ・・・」
しかし、その申し出はとても魅力的だった。
毎年見る悪夢、そして陰鬱とした空気、それを払拭してくれるのなら。いや、彼にいてもらうだけで、安心できるのだろうから。
「・・・・格好悪い、なんて思いませんよ、私は。・・・それに、格好わるい貴方なんて、何回だって見てるじゃないですか」
こちらを向いて真剣に話す日本さんの頬に、すっと朱がさした。無表情に見えるが、これは照れている。
「ありがとうございます。・・・」
受け入れたなら、彼は花を咲かせて笑った。
新幹線が、アナウンスとともに高速でやってくる。扉が開いて、乗っていた人が降りる。それを待って、乗り込んだ。
「じゃあ、大阪まで、こうしててください。・・・少し、寝たいんです」
実のところ、飛行機の中でも、全然寝ていなかった。悪夢が怖くて眠れないなんて、なんて格好わるいんだろう、子供みたいだ、とそう思っていたけれど、やっぱり怖いものは怖くて、目を閉じることが出来なかった。
欲張って、並んだ3つの席をすべて二人のためにチケットで押さえてしまっているから、遠慮することなく、日本さんの膝に頭をつける。すこし、窮屈だけれど、彼の柔らかい足が心地よかったし、心得た、とばかりに、髪を梳いて、なでてくれる彼の体温が愛しい。
目をつむっても、瞼の裏には、凄惨な光景など、1ミリたりとも現れなかった。





ーーーーーーーーーーーーーー
今更気がつきました。
普通の電車と、新幹線って、同じホームには入らないですよ・・・ね・・・・orz
華麗にスルーすてくださいますと助かります。
ちなみに、ヴェリネスというのは、11月2日のリトアニアの死者の日のことです。
流刑、虐殺、流刑、虐殺、は、1941年の大量流刑→1941〜44のユダ○人の強制収容所の件→1949年ソ連占領下の「人民の敵」とされた数十万人のシベリア流刑→1991年の血の日曜日です。
1991の1月13日の件は、この前テレビで見ましたが、鳥肌が立ちました。でも、実際に行ったリトの家はとっても素敵で安全でいい国でした。
ガイドのヴィオレッタさんがいい人で面白くて好きです。
PR

西條事情

店主:西條

リンク:同人サイト様のみ
店名:三日月商會
アドレス:http://blaueterra.blog.shinobi.jp/
メルフォは下にあります。

contact

何かありましたらこちらへどうぞ