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いつか二人が老いたら

伊日。
日の家については私の妄想。京都のとある寺を見ていて思いつきました。。。
膝枕をしている夫婦を見て、とても幸せな気分になった。
何故なら、膝枕をしているのはおじいちゃんで、してもらっているのはおばあちゃんだったから。
幸せそうに目を閉じるおばあちゃんと、それを愛しそうに眺めて、髪をなでるおじいちゃん。二人が、ここに至までどんなふうに人生を送ってきたのかが見えるその様子は、とても心温まるものがあったのだ。
そして、今、自分の膝を使って眠っているのは、日本。
気持ち良さそうに、ちょっと見たことないんじゃないかというくらいに気の抜けた顔をしている日本は、とても珍しいのだろう。
しかし、そんな日本を、自分は知っている。そして、自分しか知り得ないというのがひどく嬉しかった。
「日本?」
呼びかけても、返事は無い。
代わりに、すよすよと寝息が聞こえるだけだ。
この見事なまでの日本家屋で、広く、自分以外だれもいないこの家で、ずっと暮らしてきた彼は、寂しさなんて感じないのだろうと思われがちだけれど、実際はそうではないのだろう。
寂しさなんて感じないのだろう、という人たちは、かれのハイテクな面とか、アニメや漫画の充実さをみてそういうのだろうけれど、彼の暮らしからして、そのイメージは間違っているのだ。
暗く、日が暮れれば明かり一つない廊下を、手燭を持って自室へと向かうのだと言う。ハイテクで、何不自由ない部屋も、確かにこの家屋には存在する。けれど、日本が普段過ごすのは、この、家の一番奥の空間だ。そこには、テレビも、ラジオも、パソコンもない。あるのは、文机と、行灯と、昔式の本棚、そして衣紋掛け、それだけだ。きっと、自分以外だれも知らないのだろうその秘密に、胸がほんわりと暖かくなるのだ。
縁側で、風に笹が揺れた。裏山に面するこの部屋から見えるのは、一面の竹林と、青空、そして、日本風庭園。現世の一切合切と切り離されたこの部屋が、日本が好む理由。
膝枕をしている夫婦をみて、心が温かくなった。
けれど、そんな夫婦に自分たちはなることができない。
老いることもなければ、夫婦になることもできない。結婚、それが意味することは互いに知っているし、年をとることはない、けれど、いつまでも永遠につづく命ではない。
生まれ変わったら、何になりたい?
今度は、国になんて生まれたくない。日本の顔が、どんなに醜くても、はげていても、絶対に、国には生まれてほしくない。猫でも、犬でも、小鳥でも、なんでもいいから。
膝枕はできなくても、すぎる年を、この体にできる皺や、体力の衰えで感じたい。
「・・・イタリア、くん?すみません、寝すぎてしまいました・・・」
膝の上の、心地よい重さが消えて、冷たい外気にさらされて、小さく身震いした。
「にほん、おはよう?」
「、おはようございます、イタリアくん。おかげで、ゆっくりねることができましたよ・・・。ちょっと、無理をしていたみたいですね、貴方の行った通りです」
「そ?よかったぁ〜!」
むくりと起き上がった日本は、目をこすりながら、すこし乱れてしまった着物の襟元を、引き合わせて直している。
「ねえ、日本、もし、こんど生まれ変わったらさ、何になりたい?」
「・・・生まれ変わったら、ですか・・・。・・・そうですね、私は、国、意外ならなんでもいいですよ。もう、この立場は十分ですからね」
日本は、悲しそうに笑った。
首筋に残る、かすかなケロイド。視線を移せば、着物の袖から見える、腕には、呪いの刺青。そして、今は足袋に隠されているけれど、足首に残る銃痕とケロイド。
かれの体に今だに残るそのしるしは、日本が国を拒む理由に違いなかった。
「・・・うん、俺も、さっきそう思ったところだよ〜。・・・・日本がなにになってても、絶対見つけるからね!安心して?」
いつもはされる側なのに、日本の頭をなでる。すこしびっくりした顔をして、日本は笑った。
「それは、・・・こころ強いです」

「いつか生まれ変わって、出会って、結ばれて、二人が老いたら、俺が日本に、また膝枕してあげるからね!ノンノ!」
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