それが怖くて別れを選んだ
西日。
オランダさんは出てきてないですけど、親分閉め出しくらいの時期の話です。
日本にひどい言葉を浴びせているので、苦手な方は回避。
それが怖くて別れを選んだ
熟れたトマトを手に、それをいじりながら、スペインはにっこり笑う。
「ほな、それが日本の答えなんやな?」
長きに渡り、互いに築いてきた関係に、いま、終止符を打とうとしていた。
「はい・・・」
うなだれて、そよぐ風に髪を弄ばれているのは日本で、その表情は、暗い。しかし、決意の色があらわな瞳だけは強い光を宿している。
「そうか、そうなんか・・・なんか、ちょっと、自惚れとったんかな?日本は、俺のこともっとずっと執着してくれとるんやと思っとった。」
ぶしゅり、とトマトを握っていた手の、人差し指が、その赤い丸いトマトに突き刺さって、血のように、そして涙のような液体が吹き出した。
それを見て、まるで、自分の心のなかのよう、と日本は思った。
出来るのならば、このままおつきあいを続けたかったんですけど、そういいながらも、それを続けることで、自分が今まで知らなかった自分をかいま見て、怖かったのも事実。
それを知らないこの、褐色の肌の、緑色の目をした男は、やすやすと拒むように立てかけられた壁を乗り越えてきてしまうのだ。
自分が浸食されるような感覚を、この男はしらないのだ、と日本は思った。
「・・・・私は・・・確かに、貴方をお慕いしておりました・・・なれど・・」
徐々に上からの圧力がかかる中、二人きりで会うことすらままならない現実。その意味はなにか、と問われたなら、苦々しいが、答えることができる。これは、侵略なのだ、と。
「そしたら、何でなん?愛しとったら、別れるとか、そんな答え出る訳ないやんな?その答え、出るんやったら、それはもう日本が俺のこと、どぉでもええっちゅうことやん。」
「違います。・・・それだけは、違います・・・。私は、貴方が、・・すき・・です、それは間違いない。ですが、これは、上の決定なんです。」
強すぎる目に、視線を合わすことも出来ず、日本はまた、深く視線を下に送る。
「上司とかさぁ、そんなんどうでもなるやろ!日本、お前がどうでもぇえんやろ?そうなんやろ?やったらもぉ愛想がつかしたって言うたらええやろが!」
イライラした声、彼が激昂したこの声は、初めて日本は聞いた。
しかし、驚いて、見上げると、スペインは、泣いていた。
「スペイン・・・さん・・・・」
涙を掬おうとした手を、たたき落とされる。ぱちん、と痛々しい音があたりに響いた。
「触らんといて。もう、お前なんかに触られたないし、見られた無いわ。声も聞きたない。去ねや。」
冷たい言葉に、胸が引き裂かれた。こんなにも、愛しているのは事実なのに、恐れが勝って、先へ進むことができないのが辛い、と日本は思った。
「すみません・・・・」
座り慣れない椅子から立ち上がり、部屋を出ようと扉に手をかける。耳にこびりつくような、彼の嗚咽が、頭の中に充満していた。
ひとつ、息を吐いて、ノブをまわす。
「・・・いやや、行かんといて、」
涙声の、弱々しいスペインのつぶやきに、足に糊がひっついたみたいに、体が動かないし、なぜか、去らねばならないのに、見てはいけないと思いながら、日本は体を返してしまった。
「やって、すきなんやもん・・・・なぁ、こんなに愛しとるんやで、日本。もぉ、日本しか要らへんのに、なんでなん?・・・俺は日本が欲しいだけやん、いっこだけやん、やのに・・・っ!」
嗚咽まじりに紡がれる言葉は、彼の本心で、それは、日本の本心でもあった。
例えば、国としての存在でなく、ただの人間だったなら?船に乗ってやってきた彼と、恋に落ちて、親が別れろと迫っている、そうしたら、きっと、自分は彼と一緒に彼の国へいくのだろう、そう日本は思う。
スペインの腕がのびて、日本のからだを絡めとる。
「好きなんや、日本。離れたない・・・・」
「そんなの・・・・貴方だけがそう思っているんじゃないんです・・・」
甘い香りのする、スペインの胸の鼻を押し付けながら、日本は言う。
しかし、
「でも・・・私は・・・貴方を愛しすぎて、私じゃなくなるのが・・・怖いんです・・・」
そう言った日本を、スペインは今度は責めることはしなかった。
「だから、さようなら・・・・また、「またな」」
遮るように言って、スペインは日本に口づける。
甘く、ティーンエイジャーのするようなキスを送って、手を離した。
「ずっと、待っとる。俺は、何があっても日本を愛しとるんは変わらへんから。やから・・・・日本が、大人になってくれるまで、待っとるわ」
オランダさんは出てきてないですけど、親分閉め出しくらいの時期の話です。
日本にひどい言葉を浴びせているので、苦手な方は回避。
それが怖くて別れを選んだ
熟れたトマトを手に、それをいじりながら、スペインはにっこり笑う。
「ほな、それが日本の答えなんやな?」
長きに渡り、互いに築いてきた関係に、いま、終止符を打とうとしていた。
「はい・・・」
うなだれて、そよぐ風に髪を弄ばれているのは日本で、その表情は、暗い。しかし、決意の色があらわな瞳だけは強い光を宿している。
「そうか、そうなんか・・・なんか、ちょっと、自惚れとったんかな?日本は、俺のこともっとずっと執着してくれとるんやと思っとった。」
ぶしゅり、とトマトを握っていた手の、人差し指が、その赤い丸いトマトに突き刺さって、血のように、そして涙のような液体が吹き出した。
それを見て、まるで、自分の心のなかのよう、と日本は思った。
出来るのならば、このままおつきあいを続けたかったんですけど、そういいながらも、それを続けることで、自分が今まで知らなかった自分をかいま見て、怖かったのも事実。
それを知らないこの、褐色の肌の、緑色の目をした男は、やすやすと拒むように立てかけられた壁を乗り越えてきてしまうのだ。
自分が浸食されるような感覚を、この男はしらないのだ、と日本は思った。
「・・・・私は・・・確かに、貴方をお慕いしておりました・・・なれど・・」
徐々に上からの圧力がかかる中、二人きりで会うことすらままならない現実。その意味はなにか、と問われたなら、苦々しいが、答えることができる。これは、侵略なのだ、と。
「そしたら、何でなん?愛しとったら、別れるとか、そんな答え出る訳ないやんな?その答え、出るんやったら、それはもう日本が俺のこと、どぉでもええっちゅうことやん。」
「違います。・・・それだけは、違います・・・。私は、貴方が、・・すき・・です、それは間違いない。ですが、これは、上の決定なんです。」
強すぎる目に、視線を合わすことも出来ず、日本はまた、深く視線を下に送る。
「上司とかさぁ、そんなんどうでもなるやろ!日本、お前がどうでもぇえんやろ?そうなんやろ?やったらもぉ愛想がつかしたって言うたらええやろが!」
イライラした声、彼が激昂したこの声は、初めて日本は聞いた。
しかし、驚いて、見上げると、スペインは、泣いていた。
「スペイン・・・さん・・・・」
涙を掬おうとした手を、たたき落とされる。ぱちん、と痛々しい音があたりに響いた。
「触らんといて。もう、お前なんかに触られたないし、見られた無いわ。声も聞きたない。去ねや。」
冷たい言葉に、胸が引き裂かれた。こんなにも、愛しているのは事実なのに、恐れが勝って、先へ進むことができないのが辛い、と日本は思った。
「すみません・・・・」
座り慣れない椅子から立ち上がり、部屋を出ようと扉に手をかける。耳にこびりつくような、彼の嗚咽が、頭の中に充満していた。
ひとつ、息を吐いて、ノブをまわす。
「・・・いやや、行かんといて、」
涙声の、弱々しいスペインのつぶやきに、足に糊がひっついたみたいに、体が動かないし、なぜか、去らねばならないのに、見てはいけないと思いながら、日本は体を返してしまった。
「やって、すきなんやもん・・・・なぁ、こんなに愛しとるんやで、日本。もぉ、日本しか要らへんのに、なんでなん?・・・俺は日本が欲しいだけやん、いっこだけやん、やのに・・・っ!」
嗚咽まじりに紡がれる言葉は、彼の本心で、それは、日本の本心でもあった。
例えば、国としての存在でなく、ただの人間だったなら?船に乗ってやってきた彼と、恋に落ちて、親が別れろと迫っている、そうしたら、きっと、自分は彼と一緒に彼の国へいくのだろう、そう日本は思う。
スペインの腕がのびて、日本のからだを絡めとる。
「好きなんや、日本。離れたない・・・・」
「そんなの・・・・貴方だけがそう思っているんじゃないんです・・・」
甘い香りのする、スペインの胸の鼻を押し付けながら、日本は言う。
しかし、
「でも・・・私は・・・貴方を愛しすぎて、私じゃなくなるのが・・・怖いんです・・・」
そう言った日本を、スペインは今度は責めることはしなかった。
「だから、さようなら・・・・また、「またな」」
遮るように言って、スペインは日本に口づける。
甘く、ティーンエイジャーのするようなキスを送って、手を離した。
「ずっと、待っとる。俺は、何があっても日本を愛しとるんは変わらへんから。やから・・・・日本が、大人になってくれるまで、待っとるわ」
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