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birth

伊×にょ日
妊娠ネタです。にょ日に抵抗ある方は……回避してください
「フェリシアーノくん、別れましょう」
あれだけ悩んだのに、その言葉はあっけなく口から出て、床に転がって消えた。
言ってみればすぐで、一瞬で、その瞬間、鬱々と悩んだ日々がまっさらに消えた。
目の前でぽかん、としている、愛しい彼の顔を、笑みを浮かべて見つめた。
イタリア人の彼氏ができました、そういうと、羨ましがられる反面、イタリア人は女ったらしだからやめとけ、だとか、年下だと聞いてさらには男たらし、というような言葉も遠まわしに言われたこともある。しかし、彼が私を愛してくれている、だけで幸せだったからそんなものはどうでもよかった。
けれど、次第に、疑うようになった。彼が私を好きだというのは真実なんだろうか。彼は他の女の子にも、同じように好きだよ、と言っているんじゃないだろうか。もしかして、自分だけ、と思っていたのは思い上がりだったのかも。
彼に、好きだよ、愛してるよ、といわれる度に、嬉しくなったり疑ったり。最悪だったのは、彼が私に結婚しよう、と言ったことだ。嬉しい、と思いながらも酷い嫉妬に自分が嫌になるくらいに。
そんなある日。
食事の祭に感じた悪心に、トイレに駆け込んだ。ひどい吐き気だというのに、えづくだけで物は出てこない。数分、そのままでいた後、何事もなかったかのように消えた吐き気に、首を傾げたが、もしや、と思い、薬局に走った。
検査薬は妊娠を示している。
「………」
彼の子供がここにいる。そんな事実に、舞い上がった。
と、どうじに、なんてことをしてしまったんだ、と思った。彼は、いつもゴムを付けてくれていたのに。彼はもしかすると自分より本命の人がいるかもしれないのに、よくあるメロドラマみたいに、脇役のライバルみたいに、「…わたし、妊娠しているの…」なんて言って本当のヒロインから彼を奪い取る。彼は真に愛している本当の恋人と引き裂かれてしまうではないか。
ならば、子供は産む。けれど、独りで育てよう。そう、思ったのだ。
「な、なんで…?俺のこ、と…嫌いに…?」
けれど、何だか想像していた結末と違う。フェリシアーノくんは、ふるふると震えながら、絞り出すように言った。
「いいえ。あなたのことが好きなのは変わりません。」
「じ、じゃあっ…他に、好きなひとが、できたの…?」
「あなた以外に好きな人なんて、もう出来ません。」
頭を振って、否定するだけの私にフェリシアーノくんは心底、困惑しているようで、目は涙が零れ落ちそうでもある。
「…じゃあ、なんで?」
どうしたものか。
妊娠しました、何て、言えない。検査薬を捨てた、ゴミ箱に視線を流した。
「…?」
それをみたフェリシアーノくんは、ゴミ箱へ駆け出す。
制止するのも間に合わず、彼は、ゴミ箱の中でもから検査薬を見つけてしまった。
「…これは…?」
嫉妬、混乱、歓喜、そんな感情を綯い交ぜにした顔だ。
「…ごめんなさい、貴方の…赤ちゃんが、できて…しまって…だけど、私は、産みたいんです。だから…別れて欲しくて」
あら、何故か涙が。もう、この世の終わりみたいな気分だ。
「俺…の?」
呆然とした顔なんて、見たくなかった。
「…ごめんなさい、私、あなたのことが本当に好きなんです。だから、貴方にとって私が何番目だとしても私はいいと思ってました。でも、子供が出来てしまったら、あなたの一番の人を、あなたを傷つけてしまいます。だから、…フェリシアーノくん、別れましょう。」
そこまで言うと、フェリシアーノくんは、にっこり笑った。
「…菊、じゃあ、やっぱり俺たち、結婚した方がいいよ。俺の一番は菊だし、…妊娠しちゃった、んじゃなくて、俺が妊娠させたんだから!わざと!」
「……、え、え?」
なあんだ、そうっか、そういうことか、俺びっくりしちゃったよ~!好きなのは俺だけかとおもっちゃった!とか、なんとか騒いでいる彼だけれど、イマイチ話が見えてこない。
わざと、とは?
「え、あの、わざと?」
混乱しながらも、問うと、フェリシアーノくんはにっこり、今までみた笑顔よりもっとあかるい顔で、笑った。
「うん。前にプロポーズしたら、菊は冗談と勘違いしたでしょう?だから、子供が出来たら、信じるかなぁって。だから、前に、わざとゴム付けないで中にだし…たんだけど…お、怒らないで!」
「怒ってなんか、いません!ただちょっと、あなたを疑っていた自分に腹がたってるだけです!」
「うん…」
信じて欲しくて、おれ、頑張ったんだよ、そう言い、彼は私の、まだすこしも大きくなっていないお腹を撫でて、そして優しく抱きしめた。
「幸せな家庭を築こうね!でも、俺の一番は、ずっと菊のままだからね~!子供が出来てもそこは変わらないよ!菊も、ずっと、俺を一番にしてね!」
「…、はい!」



(おめでとうございます、元気な男の子ですよ、)
(きく、きくぅうう~っ!よかったよぉおおぅべしょべしょ~!)
(は、ははは)
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