ロミオとシンデレラ
伊日←米。
伊日でぬるい性描写あり。自己責任。
ニコニコのミリ知らロミオとシンデレラを聞いて、あ~、これはぷまいと思って書きました。
伊日でぬるい性描写あり。自己責任。
ニコニコのミリ知らロミオとシンデレラを聞いて、あ~、これはぷまいと思って書きました。
ロミオとシンデレラ
何故なんだろう。疑問ばかりが浮かんでは消える。答えは未だみつからない。誰も答えを教えてくれない。
何故なんだろう。このまま、いつか二人は恋人になるのだと思っていたのに。昔、誓ったのは忘れてしまったのだろうか。
ほら、そこにいるのは、
「お~い、き~くっ!」
向こうの方に見える、愛しい人。出会ったのはつい最近。彼がこの学園に転入してきたのがきっかけだった。偶然同じクラスになり、小さな体に、黒々として艶やかな髪、塗珠の瞳。バター色の肌。一目見てこの人だと分かったのだ。それからというもの、女の子を口説くのもやめて(と、いうか、女の子にちっとも目が向かなくなっただけなのだけど)彼を追い掛け回して、口説き倒して、ようやくこの程恋人になったのだ。
くるりと振り返り、はにかみながら手を振る姿は本当に愛らしい。
「菊!おはよう!」
抱きしめて、頬にキスをすると、真っ赤になって口をぱくぱくさせて照れている。
「ふ、フェリシアーノくん!こういうのは二人の時にしてくださいよ!」
「え~っ!だって、菊可愛いんだもん~」
「あなたね、私はあなたより随分年上なんですよ?」
そう、彼は何年か学校へ行かず、ずっと家の中で過ごしていたらしい。引きこもっていた彼を引っ張り出したのは、彼の幼なじみの、アルフレッドだった。
何故菊が引きこもってしまったのか、気になるのだけど、きっといつか話してくれるから、こちらから改めて聞こうとは思わない。
「知ってるよ、俺の可愛い、愛しいノンノ!」
「…は、恥ずかしいです…。」
一線を越えた後も、慣れない様子で腕の中で小さくなっている菊が愛しくてたまらなくなり、旋毛にキスを贈った。
近くにいる筈なのに、随分遠く思える。
毎日近くの公園まで菊を迎えにきては一緒に登校する二人の姿を、後ろから眺める。きっと以前なら、二人の間に入って、三人で登校していたのだろう。少しでも彼と一緒に居たくて連れ出した学校は、自分にとってはちっともいいことなんてなかった。彼は編入を許され、学年が別れた。当然、そのため、すれ違いが続く。知らないうちに、彼はほかの男のものになっていた。よりにもよって、校内ではモテるし、軟派だと注目の的で、噂されるフェリシアーノ・ヴァルガスに。
つまらない。
むりやり奪ってしまってもいいと思うのに、それができない。
(…あんな、ヘラヘラしたやつ…どうせ純情ぶってるだけの嫌な奴なのに…)
けれど、そんなことを言う自分はまだ思いを伝えてすらいない。
そして、嫉妬に狂っている自分が一番醜いと思った。
(ヒーローは、俺なのに…)
「菊!今日、放課後空いてるかい?久しぶりにハンバーガーでも食べないか?」
昼休み、いつも二人が使っている体育館裏の芝生。
二人は今日も仲睦しく並んでご飯を食べているようだ。いつももう一人と一緒で、三人組で食べているので、珍しいのかもしれない。
敷物は恐らく、菊の物だろう。その上に二人は座り、菊が作って持ってきたのであろう重箱をつついていた。
「おや…アルフレッドくん。」
丁度、箸で何かを掴もうとしていた彼は、至極ゆっくりとこちらへ向いた。
「ヴェ!アルフレッドだ!久しぶり~」
にこにことした声で、ヴァルガスは言うけれど、目が笑っていない。
(おい、なに誘ってんだよ)というのが視線から伝わる。こんなに性格が悪いのに、何故菊が気がつかないのかが不思議でならない。
「で、えっと…?」
二人で交わされていた視線での会話を、菊がぽきり、と折る。
「そうそう、今日、二人でハンバーガー食べに行かないかい?」
「は、ハンバーガー…ですか…?うーん」
「菊~、ハンバーガーは体に悪いよぅ~。」
「うーん…」
考え込む菊に、留めをさしたのは、やはりヴァルガスだった。
「じゃ~、俺が菊の食べたいもの作ってあげるであります!」
「な、なんですと?!」
とたん、きらきらした瞳で、もう俺のことなんて頭からすっかりなくなってしまったみたいに、二人で盛り上がっている。
こんなところで引き下がったら、ヒーローの名折れだというのに、なんとなくこうなることが分かっていたから、ここからどうかする気力も湧かなかった。
無言で踵を返す直前、口をシャム猫みたいに吊り上げて、嫌らしく笑うヴァルガスが見えた。
「ね~え?菊はアルフレッドと結婚するって決めてるって、本当?」
突然、そんなことを聞かれた。
聞いてきたのは、私が外の世界に出て、眩しさに目をあけることができず、立ち尽くしていた時、優しくこの手を握り、導いてくれた人。そして、恋人でもある。
彼はいつも目一杯の愛情をそそいでくれる。それは恥ずかしくもあるのだが、とても温かく、そして幸せだ。
「…どこ情報です?そんなこと有るわけないでしょう。」
ヴェっと彼は勝手に私の膝を枕にすると、まっすぐに此方を見上げてくる。
青い眸に吸い寄せられる。
「だって、アルフレッドがさ、俺たちはフィアンセだって。ずっとまえにそう決まったんだって」
はあ、とため息をつく。
着物の合わせを引っ張られて、彼の唇と唇が重なる。
甘い。
「俺、そんなのやだよ…」
「…私だって、あんな男と結婚なんて、死んでも、生まれ変わっても願い下げですよ。」
私の言葉に含まれたものに、いつもは空気なんて読めないくせに、こんな所だけ悟い彼は、気がついたようだった。
「んじゃあ、俺とだったら?」
伺うように問う彼は、本当に可愛らしい。
「そうですねぇ、…このまま、ずっと一緒でいられたら、と願っていますよ。」
そんなことは、有るはずがないと分かっていたとしても。いつか別れるひがくるのだと思っていても。
彼はふっと笑って、腰に手を回してくる。
「…彼は、都合の悪い事は忘れてしまうんですよね。…例えば、誰かを、無理やり犯しても、すっかり忘れて、記憶から消し去って、まるでこちらが可笑しいみたいな攻め方をする。…私はそんな男に与える情なんて、持ち合わせていないんですよ。」
彼は何も言わず、腰に回した手に、力を込めた。
「…あなたでよかった。」
何が、とは言わない。けれど、フェリシアーノくんはそれが分かったようだった。少し、綺麗な青い眸を潤ませて、にっこりと笑った。
体が反転する。背中に当たる畳の冷たさに身震いする。
しかし、口内を犯す灼熱に意識を溶かされて、すぐにどうでもよくなってしまった。
「っ…はっ」
弛緩して飲み込めなかった二人分の唾液が、溢れて伝う。
息もできず、酸素を欲するけれど、より深くまで彼を誘うだけだ。彼が離れる時には、すでに頭はぼうっとして、虚ろになってしまう。いつの間にか着物は帯が解かれて、羽織るだけになっていた。
まだきちんとボタンがかけられている、フェリシアーノくんのシャツに手をかける。ボタンを外してやりたいのに、手が震えてちっとも取れない。焦って、うまく出来ずに涙目になっていると、彼はもうすでに硬くなって存在を主張している自身を押し付けて、私の手を包み込んで、そのまま私の手を使って自らのシャツのボタンをはずしていく。
「かわいい、可愛いねぇ、菊…」
うっすらと上気した肌を見れば、そちらこそと言いたくなるが、彼の眸には獣のそれが宿っている。普段、周りが言う程、彼はヘタレでも、お花でもないのだ。男なんだと思い知らされる。時折見せるサディスティックさは、むしろ普段の底抜けな明るさは偽物なのかと感じる程だ。けれど、よく彼を知るのなら、裏表のない人間なのだと理解できる。どちらの面が表でどちらが裏なのか、普通の人間なら外面にそぐわない考えは口にしないが、彼はそぐわないなんて関係なく、思った事は口にする。
初めて体を合わせた時、彼は繋がる前に言った。
「俺、最後までしたら、菊のこと何があっても手放さなくなるよ。菊が別れたいって言っても、絶対うんって言わない。菊が誰かの物になるなら、菊が行けないようにしちゃうよ。…それでも、いい?」と。だから私は言った。
「上等ですよ。私の方が執念深いですし、…あなたが最後の人にしてください。」
なんだか悪魔と契約するような印象を受けたけれど、こちらがうんという前に勝手に一人で盛り上がって傷つけられた疵は、ようやく瘡蓋になった気がした。
それから彼は何があっても時として牙を向いて、私を手放さない。
徐々に慣らされて、もうこちらは焦れったい。
「…痛くても、いいんです、はやく……!」
言い終わる前に、フェリシアーノくんのそれが貫いた。
「……ああっっ」
大きく背を反らせる。衝撃に、触れられていないのに達してしまった。達して敏感になっているのに、待たずに与えられる刺激にまた鎌首をもたげる。
「はぁっっ…!あついよ、菊…!」
汗と体液でベタつく体をすりあわせで、互いの体を貪りあう。
必ず対面を選ぶ彼は、もしかするとずっと前から気づいていたのか。
執拗にいい場所を刺激されて、彼の腹で擦れる自身が限界に近い。彼が私の手を引く。彼は畳の上に転がって、騎乗したためにより深く貫かれて体が痺れた。
「ぬぇ、…見せて、」
彼がそう言う時は、つながりを確認したいとき。初めて言われた時は羞恥心で泣きそうになったのに、それを見た彼の顔を思い出すと、そうせずにはいられない。
「んっ」
息を整えて、手を後ろにつき、脚を広げる。ゆらゆら揺れる、自らの主張のその先に、彼の物を根元まで飲み込む、蕾。
ほら、その笑顔。
「フェリシアーノ、くん…」
「一緒に、いこう?きく…」
「は、い」
激しさを増す律動。中に熱いものを感じたのと同時に、果てた。
ワザとだと思う。
今日は久しぶりに菊の家で、新作のゲームをさせてもらうことになっていた。しかし、今、自分は縁側が見える庭の陰に立っている。呼び鈴を押しても、呼んでも、一向に出てこない彼に不安を覚え、裏庭から入ろうとした、その先に見えたのは。
聞こえ、そして見える睦事の様子に、ぎりりと歯を食いしばった。菊はしきりに彼の名前をよび、高く鳴く。
キスをするヴァルガスが、こちらをみて目を細めた。
(お前には、あげないよ、絶対。さっさと家に帰んな、マンモーニ!)
学校に行って、もっとずっと一緒にいて、そうしたら告白するから、菊は照れながらオッケーしてくれる。
二人は恋人になって、ずっと一緒にいるんだ。
ヒーローとヒロインは離れたらいけないんだ。どんな困難もヒーローの自分が解決してあげるんだ。か弱いヒロインは頼もしいなって思いながら、ヒーローの帰りを待つんだ。
描いた物語は簡単そうに見えたのに、波打ち際の砂の城だった。
一生懸命作った城を、波は攫っていってしまった。
目を、閉じる。
どこで選択肢を間違えたのか。
時間が戻るなら、初めからやり直したい。
彼にいつか渡そうと思っていた指輪が、悲しげに光った。
何故なんだろう。疑問ばかりが浮かんでは消える。答えは未だみつからない。誰も答えを教えてくれない。
何故なんだろう。このまま、いつか二人は恋人になるのだと思っていたのに。昔、誓ったのは忘れてしまったのだろうか。
ほら、そこにいるのは、
「お~い、き~くっ!」
向こうの方に見える、愛しい人。出会ったのはつい最近。彼がこの学園に転入してきたのがきっかけだった。偶然同じクラスになり、小さな体に、黒々として艶やかな髪、塗珠の瞳。バター色の肌。一目見てこの人だと分かったのだ。それからというもの、女の子を口説くのもやめて(と、いうか、女の子にちっとも目が向かなくなっただけなのだけど)彼を追い掛け回して、口説き倒して、ようやくこの程恋人になったのだ。
くるりと振り返り、はにかみながら手を振る姿は本当に愛らしい。
「菊!おはよう!」
抱きしめて、頬にキスをすると、真っ赤になって口をぱくぱくさせて照れている。
「ふ、フェリシアーノくん!こういうのは二人の時にしてくださいよ!」
「え~っ!だって、菊可愛いんだもん~」
「あなたね、私はあなたより随分年上なんですよ?」
そう、彼は何年か学校へ行かず、ずっと家の中で過ごしていたらしい。引きこもっていた彼を引っ張り出したのは、彼の幼なじみの、アルフレッドだった。
何故菊が引きこもってしまったのか、気になるのだけど、きっといつか話してくれるから、こちらから改めて聞こうとは思わない。
「知ってるよ、俺の可愛い、愛しいノンノ!」
「…は、恥ずかしいです…。」
一線を越えた後も、慣れない様子で腕の中で小さくなっている菊が愛しくてたまらなくなり、旋毛にキスを贈った。
近くにいる筈なのに、随分遠く思える。
毎日近くの公園まで菊を迎えにきては一緒に登校する二人の姿を、後ろから眺める。きっと以前なら、二人の間に入って、三人で登校していたのだろう。少しでも彼と一緒に居たくて連れ出した学校は、自分にとってはちっともいいことなんてなかった。彼は編入を許され、学年が別れた。当然、そのため、すれ違いが続く。知らないうちに、彼はほかの男のものになっていた。よりにもよって、校内ではモテるし、軟派だと注目の的で、噂されるフェリシアーノ・ヴァルガスに。
つまらない。
むりやり奪ってしまってもいいと思うのに、それができない。
(…あんな、ヘラヘラしたやつ…どうせ純情ぶってるだけの嫌な奴なのに…)
けれど、そんなことを言う自分はまだ思いを伝えてすらいない。
そして、嫉妬に狂っている自分が一番醜いと思った。
(ヒーローは、俺なのに…)
「菊!今日、放課後空いてるかい?久しぶりにハンバーガーでも食べないか?」
昼休み、いつも二人が使っている体育館裏の芝生。
二人は今日も仲睦しく並んでご飯を食べているようだ。いつももう一人と一緒で、三人組で食べているので、珍しいのかもしれない。
敷物は恐らく、菊の物だろう。その上に二人は座り、菊が作って持ってきたのであろう重箱をつついていた。
「おや…アルフレッドくん。」
丁度、箸で何かを掴もうとしていた彼は、至極ゆっくりとこちらへ向いた。
「ヴェ!アルフレッドだ!久しぶり~」
にこにことした声で、ヴァルガスは言うけれど、目が笑っていない。
(おい、なに誘ってんだよ)というのが視線から伝わる。こんなに性格が悪いのに、何故菊が気がつかないのかが不思議でならない。
「で、えっと…?」
二人で交わされていた視線での会話を、菊がぽきり、と折る。
「そうそう、今日、二人でハンバーガー食べに行かないかい?」
「は、ハンバーガー…ですか…?うーん」
「菊~、ハンバーガーは体に悪いよぅ~。」
「うーん…」
考え込む菊に、留めをさしたのは、やはりヴァルガスだった。
「じゃ~、俺が菊の食べたいもの作ってあげるであります!」
「な、なんですと?!」
とたん、きらきらした瞳で、もう俺のことなんて頭からすっかりなくなってしまったみたいに、二人で盛り上がっている。
こんなところで引き下がったら、ヒーローの名折れだというのに、なんとなくこうなることが分かっていたから、ここからどうかする気力も湧かなかった。
無言で踵を返す直前、口をシャム猫みたいに吊り上げて、嫌らしく笑うヴァルガスが見えた。
「ね~え?菊はアルフレッドと結婚するって決めてるって、本当?」
突然、そんなことを聞かれた。
聞いてきたのは、私が外の世界に出て、眩しさに目をあけることができず、立ち尽くしていた時、優しくこの手を握り、導いてくれた人。そして、恋人でもある。
彼はいつも目一杯の愛情をそそいでくれる。それは恥ずかしくもあるのだが、とても温かく、そして幸せだ。
「…どこ情報です?そんなこと有るわけないでしょう。」
ヴェっと彼は勝手に私の膝を枕にすると、まっすぐに此方を見上げてくる。
青い眸に吸い寄せられる。
「だって、アルフレッドがさ、俺たちはフィアンセだって。ずっとまえにそう決まったんだって」
はあ、とため息をつく。
着物の合わせを引っ張られて、彼の唇と唇が重なる。
甘い。
「俺、そんなのやだよ…」
「…私だって、あんな男と結婚なんて、死んでも、生まれ変わっても願い下げですよ。」
私の言葉に含まれたものに、いつもは空気なんて読めないくせに、こんな所だけ悟い彼は、気がついたようだった。
「んじゃあ、俺とだったら?」
伺うように問う彼は、本当に可愛らしい。
「そうですねぇ、…このまま、ずっと一緒でいられたら、と願っていますよ。」
そんなことは、有るはずがないと分かっていたとしても。いつか別れるひがくるのだと思っていても。
彼はふっと笑って、腰に手を回してくる。
「…彼は、都合の悪い事は忘れてしまうんですよね。…例えば、誰かを、無理やり犯しても、すっかり忘れて、記憶から消し去って、まるでこちらが可笑しいみたいな攻め方をする。…私はそんな男に与える情なんて、持ち合わせていないんですよ。」
彼は何も言わず、腰に回した手に、力を込めた。
「…あなたでよかった。」
何が、とは言わない。けれど、フェリシアーノくんはそれが分かったようだった。少し、綺麗な青い眸を潤ませて、にっこりと笑った。
体が反転する。背中に当たる畳の冷たさに身震いする。
しかし、口内を犯す灼熱に意識を溶かされて、すぐにどうでもよくなってしまった。
「っ…はっ」
弛緩して飲み込めなかった二人分の唾液が、溢れて伝う。
息もできず、酸素を欲するけれど、より深くまで彼を誘うだけだ。彼が離れる時には、すでに頭はぼうっとして、虚ろになってしまう。いつの間にか着物は帯が解かれて、羽織るだけになっていた。
まだきちんとボタンがかけられている、フェリシアーノくんのシャツに手をかける。ボタンを外してやりたいのに、手が震えてちっとも取れない。焦って、うまく出来ずに涙目になっていると、彼はもうすでに硬くなって存在を主張している自身を押し付けて、私の手を包み込んで、そのまま私の手を使って自らのシャツのボタンをはずしていく。
「かわいい、可愛いねぇ、菊…」
うっすらと上気した肌を見れば、そちらこそと言いたくなるが、彼の眸には獣のそれが宿っている。普段、周りが言う程、彼はヘタレでも、お花でもないのだ。男なんだと思い知らされる。時折見せるサディスティックさは、むしろ普段の底抜けな明るさは偽物なのかと感じる程だ。けれど、よく彼を知るのなら、裏表のない人間なのだと理解できる。どちらの面が表でどちらが裏なのか、普通の人間なら外面にそぐわない考えは口にしないが、彼はそぐわないなんて関係なく、思った事は口にする。
初めて体を合わせた時、彼は繋がる前に言った。
「俺、最後までしたら、菊のこと何があっても手放さなくなるよ。菊が別れたいって言っても、絶対うんって言わない。菊が誰かの物になるなら、菊が行けないようにしちゃうよ。…それでも、いい?」と。だから私は言った。
「上等ですよ。私の方が執念深いですし、…あなたが最後の人にしてください。」
なんだか悪魔と契約するような印象を受けたけれど、こちらがうんという前に勝手に一人で盛り上がって傷つけられた疵は、ようやく瘡蓋になった気がした。
それから彼は何があっても時として牙を向いて、私を手放さない。
徐々に慣らされて、もうこちらは焦れったい。
「…痛くても、いいんです、はやく……!」
言い終わる前に、フェリシアーノくんのそれが貫いた。
「……ああっっ」
大きく背を反らせる。衝撃に、触れられていないのに達してしまった。達して敏感になっているのに、待たずに与えられる刺激にまた鎌首をもたげる。
「はぁっっ…!あついよ、菊…!」
汗と体液でベタつく体をすりあわせで、互いの体を貪りあう。
必ず対面を選ぶ彼は、もしかするとずっと前から気づいていたのか。
執拗にいい場所を刺激されて、彼の腹で擦れる自身が限界に近い。彼が私の手を引く。彼は畳の上に転がって、騎乗したためにより深く貫かれて体が痺れた。
「ぬぇ、…見せて、」
彼がそう言う時は、つながりを確認したいとき。初めて言われた時は羞恥心で泣きそうになったのに、それを見た彼の顔を思い出すと、そうせずにはいられない。
「んっ」
息を整えて、手を後ろにつき、脚を広げる。ゆらゆら揺れる、自らの主張のその先に、彼の物を根元まで飲み込む、蕾。
ほら、その笑顔。
「フェリシアーノ、くん…」
「一緒に、いこう?きく…」
「は、い」
激しさを増す律動。中に熱いものを感じたのと同時に、果てた。
ワザとだと思う。
今日は久しぶりに菊の家で、新作のゲームをさせてもらうことになっていた。しかし、今、自分は縁側が見える庭の陰に立っている。呼び鈴を押しても、呼んでも、一向に出てこない彼に不安を覚え、裏庭から入ろうとした、その先に見えたのは。
聞こえ、そして見える睦事の様子に、ぎりりと歯を食いしばった。菊はしきりに彼の名前をよび、高く鳴く。
キスをするヴァルガスが、こちらをみて目を細めた。
(お前には、あげないよ、絶対。さっさと家に帰んな、マンモーニ!)
学校に行って、もっとずっと一緒にいて、そうしたら告白するから、菊は照れながらオッケーしてくれる。
二人は恋人になって、ずっと一緒にいるんだ。
ヒーローとヒロインは離れたらいけないんだ。どんな困難もヒーローの自分が解決してあげるんだ。か弱いヒロインは頼もしいなって思いながら、ヒーローの帰りを待つんだ。
描いた物語は簡単そうに見えたのに、波打ち際の砂の城だった。
一生懸命作った城を、波は攫っていってしまった。
目を、閉じる。
どこで選択肢を間違えたのか。
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彼にいつか渡そうと思っていた指輪が、悲しげに光った。
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西條事情
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