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君色に染めて

伊日。本屋でみた日本の春画の本をみて。。
他国バージョンも描きだい。
君色に染めて




「…日本、」
どんよりとした顔をして今にも死刑台に引きずられてゆく罪人のようにうなだれたヴェネツィアーノに、何事がと腰を浮かせた。
「どうしたんです?…何か、ありました?」
心配になり、取りあえず彼の靴を脱がせ、上がらせると、居間へと手引きする。
本当に、涙まで溜まってしまって、どうしたというのだろうか。
「ヴェネツィアーノくん?」
ついに彼はほろりと泣き出してしまった。
肩に置こうとした手が、行き場をなくして宙をさ迷う。
「俺、俺、っ…!日本を満足させられなくてごめんねっ!」
「え………、」
一体何を満足させられなかったのか。彼の料理は美味しかったし、先日出かけた折にはとてもよくして貰っている。
「あの……」
そう言ってようやっと彼の肩に手を置こうとした瞬間、その手は手首から彼に掴まれてしまった。
「俺、もっと勉強するから、だから、嫌いにならないで!お願い!」
「えぇっ!どうしたんです、ヴェネツィアーノくん!話が全く見えない……っつ!」
最後まで言うことは赦されず、深く咥内を犯す彼の舌に息継ぎすらできない。
「んっ……」
貪るような獣の口付けに、頭に空気がいかず、意識がゆるくなってしまった。痺れる全身は力が無くなり、ずるずるとヴェネツィアーノにすがりつき、畳の上へ倒れ込んだ。それでも口付けは続く。
口付けで意識がそちらへ集中してしまっている間に、膝がわられて脚に外気が当たる。閉じようとしても、間に入られてしまえばそれは不可能となっていた。
褌越にあたる彼の自身もまた、解るほどに硬くなって、ワザとか偶然か、半ば立ち上がりかけている自分のそれをぐりと押した。
「はっ」
ピリピリとした電流が全身を駆け抜け、背中を反らせる。
そこで、ようやくヴェネツィアーノは糸を引かせながら唇を解放した。上下する胸を見れば、彼も限界だったのが伺える。しかし、未だ過度の口付けに慣れないこちらはそれ以上である。
めまいと汗と、その他の何かでもう体ものろのろとしか動かない。肩で息をしながら素早く服を脱ぎ捨てる彼は、ローマの彫刻のように均整のとれた体を惜しげもなく晒した。
もう何度もみていると言うのに、やはりその、いつもとは違う姿をみると緊張してしまうもので、頬が熱くなる。
ヴェネツィアーノの手が、既に乱れている着物の袷を大きく左右に引いた。訳も分からずこんな展開になって、常ならばこらと叱るところなのに、日本は惚けてしまってそれどころではなかった。こんなきれいな体をしている者が、自分のひ弱で美しくない体を愛でているかと思うと不思議で、しかも恥ずかしい。
先ほどの深すぎる口付けのせいか、それとも緊張か、指が震えた。
「ヴェネツィアーノ、くん……、」
「日本、愛してる……!嫌いになんて、ならせない、」

また降ってくる口づけに、理由はもう、後でいいやと片付けた。



事後の甘く怠い空気が部屋を覆う。匂いすら甘い。
ぐったりとうなだれて、動くことも億劫だ。隣にいて髪をすいてくれるヴェネツィアーノくんは何故か満足そうである。
「…一体、今日は何だったんですか?」
かすれた声で言うと、彼はヴェッと小さく言って、
「だって……日本の、シュンガ、見てたら俺、ちゃんと気持ちよくできてるのかなって……」
「シュンガ……って、えええっあのっ春画、ですか、…!」
うん、とまた、シュンとする彼ではあるが、行為に及ぶ前よりも幾分か落ち着いている。当たり前か、あれだけあられもない姿を晒した訳だ。しかし、あれだけ獣のようだったのに今はもうほんわりとしたいつもの、へたれた彼なのだ、なんだか可愛い。
「…その、大丈夫ですよ、私は…あなたしか知りませんから。あなたが初めての人で最後の人ですから。」
「日本……」
「いいんですよ、あなたの好きなように染めてくださって。」
そこまで言うと、まだ体内に残っていた彼が、また急激に力を取り戻してしまった。
「ん、あっ!ヴェ、ネツィアーノくん……!」
抗議の声を上げるけれど、それは聞き入れては貰えそうにない。照れたように笑う彼は、ふっと息を吐き出し、
「今のは日本が悪いよ。」
と言った。
そんなことを言われてしまえば黙るしかない。
諦めて身をゆだねた。
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