あるホテルでの朝の一幕
露日。やまなしおちなし…
あるホテルでの朝の一幕
「日本くんおはよ~」
ホテルの隣の部屋から扉が開く音がして、見計らって同じく扉をひらくと、目の前ににっこりと満面の笑みを浮かべてロシアさんが立っていた。
「お、おはようございます」
わざと時間をずらしたというのにやはりそこも読まれていたようだ。特に、彼を疎ましく思っているなどの理由はないのだが、何となく、彼といると自分のペースを乱される気がして、平静でいられない気がして避けていたのだ。
朝も早いので、この階に部屋をとっている筈のアメリカさんやリトアニアさん、その外の方々はまだ起きられてはいないようで、廊下はしんと静まり返って、二人以外誰も居ない。
「うふっ。日本くんは朝早いかなぁと思ったんだぁ~。」
「…そうですか、」
元々は彼は一つ上の階に部屋を与えられていたのだが、私の隣の部屋がこの階だと知ると、無理矢理隣だった筈のラトビアさんと部屋を交換してしまったのだ。
その時の光景はまさに恐ろしく涙目ものだった。
うきうきして今にもスキップをしだしそうなくらい楽しそうなロシアさんを連れて、食事にでもいこうかと考えていると、
「ね、挨拶挨拶!キスして!ここ!」
と言いながら、頬を指さしている。
「いっ!嫌ですよ!そんなの」
「どうして?挨拶じゃない」
明らかに残念という顔をしても、こちらにはそんな習慣はない。
たとえここがヨーロッパであり、キスの習慣がある国だとしても。
「私のところにはそんな習慣はないんですよ。堪忍してください…」
「そんなぁ…」
がっくり、という言葉がこれほどぴったりくることはそうそうないだろう。大きな体をしておきながら、起こす行動はいやに可愛らしい。
「…そ、そんな顔してもだめなものはだめですから。」
「別に、口にしてなんて言ってないじゃない、ここだよ?」
わざわざ背中まで丸めて、強引にねだってくる。垂れたマフラーが、地面につきそうだ。
「キスして!ほら!」
「……分かりましたよ。」
あまりにも強引だけれど、たまにそれが愛おしくなる時もあるもので、たかが挨拶だけれども、それほど求められると、弱い。
渋々ではあるけれど、そんな挨拶なんてしたことがないけれど、指さされた頬の真ん中、ロシアさんの甘い、どこか懐かしい匂いが鼻腔をくすぐり、一瞬ではあるけれど柔らかい肌に口付けを落とした。
「うふっ。ありがとう、日本くん!」
しかし、こちらが柔らかい気持ちに包まれていたというのに、彼はすかさず、同じく一瞬だけれど、頬ではなく唇に触れた。
「あ、あなたどうしてくれるんですか!口にっ口にするなんて!」顔が真っ赤になっていようが構わない。こんな形での口付けなんてがっかりだ。
懲りた様子もなく、早く朝ご飯食べに行こうよ、などと呑気に言うロシアさんに、一発お見舞いしてやりたい。
「あれ?もしかして、初めてだったのかな?…ふふっやったね!」
返す言葉もなく、なんとも力が抜けて立ち尽くすしかない。
ロシアさんはそれをいいことに、二回目、三回目もついでに奪っていってしまった。
「はあ、今日はほんとうに良い日になったね!うふふ!」
「日本くんおはよ~」
ホテルの隣の部屋から扉が開く音がして、見計らって同じく扉をひらくと、目の前ににっこりと満面の笑みを浮かべてロシアさんが立っていた。
「お、おはようございます」
わざと時間をずらしたというのにやはりそこも読まれていたようだ。特に、彼を疎ましく思っているなどの理由はないのだが、何となく、彼といると自分のペースを乱される気がして、平静でいられない気がして避けていたのだ。
朝も早いので、この階に部屋をとっている筈のアメリカさんやリトアニアさん、その外の方々はまだ起きられてはいないようで、廊下はしんと静まり返って、二人以外誰も居ない。
「うふっ。日本くんは朝早いかなぁと思ったんだぁ~。」
「…そうですか、」
元々は彼は一つ上の階に部屋を与えられていたのだが、私の隣の部屋がこの階だと知ると、無理矢理隣だった筈のラトビアさんと部屋を交換してしまったのだ。
その時の光景はまさに恐ろしく涙目ものだった。
うきうきして今にもスキップをしだしそうなくらい楽しそうなロシアさんを連れて、食事にでもいこうかと考えていると、
「ね、挨拶挨拶!キスして!ここ!」
と言いながら、頬を指さしている。
「いっ!嫌ですよ!そんなの」
「どうして?挨拶じゃない」
明らかに残念という顔をしても、こちらにはそんな習慣はない。
たとえここがヨーロッパであり、キスの習慣がある国だとしても。
「私のところにはそんな習慣はないんですよ。堪忍してください…」
「そんなぁ…」
がっくり、という言葉がこれほどぴったりくることはそうそうないだろう。大きな体をしておきながら、起こす行動はいやに可愛らしい。
「…そ、そんな顔してもだめなものはだめですから。」
「別に、口にしてなんて言ってないじゃない、ここだよ?」
わざわざ背中まで丸めて、強引にねだってくる。垂れたマフラーが、地面につきそうだ。
「キスして!ほら!」
「……分かりましたよ。」
あまりにも強引だけれど、たまにそれが愛おしくなる時もあるもので、たかが挨拶だけれども、それほど求められると、弱い。
渋々ではあるけれど、そんな挨拶なんてしたことがないけれど、指さされた頬の真ん中、ロシアさんの甘い、どこか懐かしい匂いが鼻腔をくすぐり、一瞬ではあるけれど柔らかい肌に口付けを落とした。
「うふっ。ありがとう、日本くん!」
しかし、こちらが柔らかい気持ちに包まれていたというのに、彼はすかさず、同じく一瞬だけれど、頬ではなく唇に触れた。
「あ、あなたどうしてくれるんですか!口にっ口にするなんて!」顔が真っ赤になっていようが構わない。こんな形での口付けなんてがっかりだ。
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「はあ、今日はほんとうに良い日になったね!うふふ!」
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