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異臭を放つ宝石

露日。
とある歌手さんの曲から。
異臭を放つ宝石





その宝石は、血なまぐさく、今まで嗅いだことのないくらいの異臭を放っていた。しかし、同時に今までみたこと無いくらいの輝きと色を持っていた。
凍りつく寒さの中、ひとりぽっちで暗い目をしていたそれは、いつしか周りの輝きを欲しがった。
しかし手に入れたとしても輝くことない自分を見て、また他の輝きを探した。
いつか自分も輝けると信じて。
その時がくるのか不安な心を抱きしめ、輝きを求め次第に肥大していく。やがて誰もがその異臭に顔を背けた。
その宝石を誰かが拾い上げた。
酷い匂いに顔をしかめることもなく、やさしくそれを拾い上げた。
「泣くのはやめにしたらどうですか」
そういうと、宝石は大きな体に似合わず、幼子のような仕草で涙を拭った。
「…僕が怖くないの?」
「ええ、小指の爪の先ほども。」
紫色の目をした宝石は、美しいのに穢れに充ちて、本当の美しさを見失っていた。しかしそれすらも宝石の持ち味だとでもいうように、しゃがみこんだ大きな宝石を愛しげに撫でた。
「貴方ほど美しいものをみたことがありません。自信を持ちなさい」
「…嘘だよ。僕は不気味で、血生臭くて、みんなみたいにキラキラしていないもの。綺麗だなんて…嘘だよ」
宝石は言いながら、また涙を流しはじめた。
その姿を見て誰かは笑った。
そして、しゃくりあげるその大きな体をした宝石を、小さな体を使って包み込んだ。
「嘘なんかじゃありません。あなたのその純粋さは、他に類をみません。誰もが純粋ではいられなくなってしまうのに、あなたはそれを保ち続ける。美しいことです。」
そこで初めて、宝石はその誰かをしっかりと見た。
その表情は優しく、笑っていた。慈愛に満ちているその顔に、宝石は別の意味で込み上げる涙を押さえることができなかった。
「どうして優しくしてくれるの?」
流れるなみだもそのままにして、そっと抱きしめてくれる細い腕に手を添えた。
誰かはまだ涙で濡れる瞳を覗き込むようにして額をつけて、かすめるような口づけをして言った。

「あなたを愛しているからですよ、ロシアさん。」


宝石は初めてそこで、自分にもきらきらとした何かがあるのに気がついた。それも、いままで奪ってきたどの輝きよりも綺麗な輝きだった。 自分の周りにまとわりついていた血の匂いも、腐敗臭も、柔らかな原っぱの香りになっていた。今までの誰のどんなことばよりも耳に響いて、世界を変えた。

「僕も、日本くんが好きだよ。愛してる。」

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店主:西條

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店名:三日月商會
アドレス:http://blaueterra.blog.shinobi.jp/
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