幸福の掌2
幸福の掌の続き。
幸福の掌 2
画面の向こうでは、国を背負って演技をする選手達が一人ずつリンクに出て、泣いたり笑ったり、している。
自国の代表が全て出てしまい、私はテレビの前で固唾を呑んで次に出てくる選手を見つめている。今日も仕事に行くことすら出来ずに、炬燵で丸まっている。今日はきちんと、テレビを挟んで両側に座っているので、窮屈でもないし、妙に緊張もしない。
「アメリカさんのところの方ですか。メガネをかけて金髪にして、もうすこし大味にしたら彼にそっくりですね。」
目の前に座っているロシアさんに話した筈なのに、彼は全くこういうときだけ聞こえないふりをする。彼は何かと張り合いたがる。一昨日も、彼の家の人が一位を取り、二位にアメリカさんの家の人が入ったときの顔と言ったらなかった。
「ロシアさん?」
もう一度声をかけると、今度はちゃんと耳に届いたのか、にっこり笑顔が返ってきた。
「なあに?日本くん。何か言った?」
「…いいえ。あなたの家の人、もう滑るみたいですよ。」
画面に、さっそうと滑り出したのは、黒の衣装に赤いビーズでベストを型どり、グレーのビーズでネクタイを象った、彼の使う、タンゴ・アモーレにぴったりだ。準備を終えて、位置につく。何故かこちらの心臓ば速くなる。無事に滑り終えてくれるかどうか、そしてまた素敵な笑顔が見れるというドキドキ。正面のロシアさんも真剣な目をして画面を食い入るように見ていた。
彼が審査員に向けて投げキスをする。腰の動き、苦悩の表情。
「ねえ、日本くん、見て見て!」
「はい?」
キスアンドクライで採点を待つところまで見て、ロシアさんがようやく口を開いた。
呼ばれて彼の方を見ると、
「ろっロシアさん?!」
画面の中の彼がさっきしていたのと同じ、苦悩の表情。
「どっ!どうしました?!」
「うふふ~日本くんが、あんまり真剣に見てたから~」
「あなたもじっと見てたじゃないですか。」
言い返すと、ロシアさんは一層笑顔を深めた。
「僕は日本くんがあんまりにもうっとりしてるから、真似しようと思っただけだよ?」
「何を言ってるんですか。」
「あ~あ、銀かぁ。まっいっか。これで日本くんと並べたし。」
「はあ、」
画面には、日本の国旗と彼の国旗が縦に並んでいる。
何が嬉しいのか、さっきからにこにこして、幻覚か、彼の周りに花まで見える。
「そんなに嬉しいんですか?」
きくと、ロシアさんは高い鼻を膨らませ、大きく息を吐くだけで、答えなかった。
「さあて、買い物にでも行きますか。ロシアさん、あなた、今日は泊まられますか、」
「うん。今日の夜はボルシチが食べたいな」
「…善処します。」
画面の向こうでは、国を背負って演技をする選手達が一人ずつリンクに出て、泣いたり笑ったり、している。
自国の代表が全て出てしまい、私はテレビの前で固唾を呑んで次に出てくる選手を見つめている。今日も仕事に行くことすら出来ずに、炬燵で丸まっている。今日はきちんと、テレビを挟んで両側に座っているので、窮屈でもないし、妙に緊張もしない。
「アメリカさんのところの方ですか。メガネをかけて金髪にして、もうすこし大味にしたら彼にそっくりですね。」
目の前に座っているロシアさんに話した筈なのに、彼は全くこういうときだけ聞こえないふりをする。彼は何かと張り合いたがる。一昨日も、彼の家の人が一位を取り、二位にアメリカさんの家の人が入ったときの顔と言ったらなかった。
「ロシアさん?」
もう一度声をかけると、今度はちゃんと耳に届いたのか、にっこり笑顔が返ってきた。
「なあに?日本くん。何か言った?」
「…いいえ。あなたの家の人、もう滑るみたいですよ。」
画面に、さっそうと滑り出したのは、黒の衣装に赤いビーズでベストを型どり、グレーのビーズでネクタイを象った、彼の使う、タンゴ・アモーレにぴったりだ。準備を終えて、位置につく。何故かこちらの心臓ば速くなる。無事に滑り終えてくれるかどうか、そしてまた素敵な笑顔が見れるというドキドキ。正面のロシアさんも真剣な目をして画面を食い入るように見ていた。
彼が審査員に向けて投げキスをする。腰の動き、苦悩の表情。
「ねえ、日本くん、見て見て!」
「はい?」
キスアンドクライで採点を待つところまで見て、ロシアさんがようやく口を開いた。
呼ばれて彼の方を見ると、
「ろっロシアさん?!」
画面の中の彼がさっきしていたのと同じ、苦悩の表情。
「どっ!どうしました?!」
「うふふ~日本くんが、あんまり真剣に見てたから~」
「あなたもじっと見てたじゃないですか。」
言い返すと、ロシアさんは一層笑顔を深めた。
「僕は日本くんがあんまりにもうっとりしてるから、真似しようと思っただけだよ?」
「何を言ってるんですか。」
「あ~あ、銀かぁ。まっいっか。これで日本くんと並べたし。」
「はあ、」
画面には、日本の国旗と彼の国旗が縦に並んでいる。
何が嬉しいのか、さっきからにこにこして、幻覚か、彼の周りに花まで見える。
「そんなに嬉しいんですか?」
きくと、ロシアさんは高い鼻を膨らませ、大きく息を吐くだけで、答えなかった。
「さあて、買い物にでも行きますか。ロシアさん、あなた、今日は泊まられますか、」
「うん。今日の夜はボルシチが食べたいな」
「…善処します。」
PR
西條事情
店主:西條
リンク:同人サイト様のみ
店名:三日月商會
アドレス:http://blaueterra.blog.shinobi.jp/
メルフォは下にあります。
リンク:同人サイト様のみ
店名:三日月商會
アドレス:http://blaueterra.blog.shinobi.jp/
