I Don't LOVE you
米日
マイケミの曲から。
マイケミの曲から。
I Don't LOVEyou
*
*
「行ってしまうのかい?」
扉の前で今にもドアノブに手をかけようとしていた小さな背中に向かって、問いかけた。
華奢な背中、この国の女性よりも幾分か低い背丈。その背中に背負うものは、想像できないくらいに大きく重い。
冷え切った部屋の中で、音もなく、それこそ衣擦れの音もなくこちらを見た彼の表情は、影になって窺うことはできなかった。
この部屋で過ごした、僅かながらも幸せであった時は、泡となって消えてしまった。
もう、彼はここにもどるつもりはないだろう。
いつからか、心が離れているのを知っていた。
そして、戦いの中で、埋めることができないくらいに深く掘られてしまった溝があることも。
「ええ、もう、時間ですから」
凛とした声が、音もない部屋に響いた。
その声はどんなにすがっても、はねのけるくらいの意思が詰まっていた。
「日本、俺は…まだ・・・」
君のことが好きだって、言いたいのに。
日本は人差し指を唇に押し当てて、その先を言わないように、示した。
「あと数時間したら、私と貴方は敵同士です。やめにしましょう?」
「・・・どうして、そんな割り切って考えられるんだい?俺は、国とか、そういうことを抜きにして君を愛しているんだ」
そういうと、日本はちょっと笑って、ぴしゃりと言った。
「それではすまされないこともあるんですよ、若造。私や貴方がいくら人として好きだ嫌いだと言っても、
私は人である前に国であり、私の中には数えきれない命が棲んでいる。現実から目をそむけてはいけない」
「それは俺もわかってる。でも、それじゃ、君は一人で戦うっていうのかい?イタリアも、ドイツも、もういないんだぞ?」
降伏した彼ら。それでも戦うのかと、一人、呼び出した。
やってきたときの彼の表情といったら、最後に会った時より考えられないくらい顔も青白く、病んだ目をしていた。
それでも。
「もちろんです。」
日本はそういうと、踵を返して、静かに戸をあけて去って行ってしまった。
「私の民の、明るい未来のために」
最後まで、愛していないとは言わなかった。
どうせなら、もう、愛していないからと言われた方がよかった。
無駄な期待を胸にせずによかったのに。
「愛してる・・・・」
外は雨が降り出したところだった。
*
*
「行ってしまうのかい?」
扉の前で今にもドアノブに手をかけようとしていた小さな背中に向かって、問いかけた。
華奢な背中、この国の女性よりも幾分か低い背丈。その背中に背負うものは、想像できないくらいに大きく重い。
冷え切った部屋の中で、音もなく、それこそ衣擦れの音もなくこちらを見た彼の表情は、影になって窺うことはできなかった。
この部屋で過ごした、僅かながらも幸せであった時は、泡となって消えてしまった。
もう、彼はここにもどるつもりはないだろう。
いつからか、心が離れているのを知っていた。
そして、戦いの中で、埋めることができないくらいに深く掘られてしまった溝があることも。
「ええ、もう、時間ですから」
凛とした声が、音もない部屋に響いた。
その声はどんなにすがっても、はねのけるくらいの意思が詰まっていた。
「日本、俺は…まだ・・・」
君のことが好きだって、言いたいのに。
日本は人差し指を唇に押し当てて、その先を言わないように、示した。
「あと数時間したら、私と貴方は敵同士です。やめにしましょう?」
「・・・どうして、そんな割り切って考えられるんだい?俺は、国とか、そういうことを抜きにして君を愛しているんだ」
そういうと、日本はちょっと笑って、ぴしゃりと言った。
「それではすまされないこともあるんですよ、若造。私や貴方がいくら人として好きだ嫌いだと言っても、
私は人である前に国であり、私の中には数えきれない命が棲んでいる。現実から目をそむけてはいけない」
「それは俺もわかってる。でも、それじゃ、君は一人で戦うっていうのかい?イタリアも、ドイツも、もういないんだぞ?」
降伏した彼ら。それでも戦うのかと、一人、呼び出した。
やってきたときの彼の表情といったら、最後に会った時より考えられないくらい顔も青白く、病んだ目をしていた。
それでも。
「もちろんです。」
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「私の民の、明るい未来のために」
最後まで、愛していないとは言わなかった。
どうせなら、もう、愛していないからと言われた方がよかった。
無駄な期待を胸にせずによかったのに。
「愛してる・・・・」
外は雨が降り出したところだった。
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