図書館
リト日
図書館
図書館というのは、どうしてこうも落ち着くんだろう、と思いながら、本棚と本棚の間をゆっくりとタイトルを見ながら進んでいく。
いろとりどりなのに、どこか重厚な感じがするのは、ここにある本がすべて母国語で書かれた本ではないからかもしれない。それに、母国の本は、なんだかセンスのないイメージがあった。
並ぶ本を指でなぞりながら進む。
広い中、何人か見知った顔を見かけたが、図書館を利用する面々はいつもと同じで、静かな人ばかりで、だれも声をかけてはこなかった。
「ふう」
ひとつ大きく息をついて、上を見上げる。
ほしかった本は、背伸びをしても届きそうにないところにちょこん、と分厚い本に挟まれていた。
「おや、どうしましょうか」
小さく、小さく、ほとんど息の音しかしないくらいに小さい声で呟くと、回りに何か脚立がないか見渡す。
案の定、ない。
「どうしてこう・・・・」
目いっぱい、つま先で立ち、腕を上げる。
「無駄に、高い所に・・・」
この国ではおそらく普通なのだろうが、身長の低い国である自分にはとうてい届かない。
「置くので、しょうか」
くっと最後に伸ばした手も、本の下をかすって行くだけ。
はあ、とつま先をもとに戻し、ふいに視線の行く方向。
本の向こうに、彼が立っていた。
彼は反対側の本棚で本を読んでいたらしく、照れながら、にっこりと笑った。
「・・・・リトアニアさん・・・」
彼はここにずっといたのだろうか。そう思うと、なんだか恥ずかしくなり、心臓が早く打ちつけ、頬に熱がさした。
リトアニアさんはしばらくしてこちら側にやってくると、にっこりとまた笑った。
「どの本ですか?」
彼が言うので、タイトルを答える。彼はさっと、先ほどまで悪戦苦闘していた高さにまだツンとして挟まっている本を取り出して、
差し出した。
「あ、ありがとうございます。」
受け取り際に、さりげなく触れられた手がとても熱く感じる。
ここの温度も2度は高くなったのかも知れない。
「今日、ずっと日本さんが会議にこられるというので楽しみに待っていたんです。」
「そうですか?・・・言ってくださったら初めに窺ったんですが。」
「いいえ、日本さんも忙しいですから。会いたいときは俺が行きますよ」
そう言って彼が持っていた本をめくり、こちらに窺うようにある行を指差した。
「あ、」
彼が指差す文字は、愛の言葉。
他は難しい単語が並んでいるのに、突如現れたその文字にますます早鐘を打つ心臓。
「この本、面白いでしょう?縦に読んだときだけ、ここがこの言葉になるんです」
そういうリトアニアさんの頬も、すこし赤い気がした。
きっと、自分の方がはるかに赤いだろうけれど。
「もうすぐ会議ですね。・・・一緒にいきませんか?」
リトアニアさんが、ふんわりと、優しく笑って言って手を差し出す。
「・・・・・・はい」
少しだけ、汗ばむ手のひらを、彼の差し出した左手に乗せた。
手をつなぐ二人を窓辺の木々の光が照らし、ステージのように長く影を作った。
本棚の間を出ても、図書館のしんとした空気は変わらず、誰かがひそひそと話す声と足音だけが響いた。
図書館というのは、どうしてこうも落ち着くんだろう、と思いながら、本棚と本棚の間をゆっくりとタイトルを見ながら進んでいく。
いろとりどりなのに、どこか重厚な感じがするのは、ここにある本がすべて母国語で書かれた本ではないからかもしれない。それに、母国の本は、なんだかセンスのないイメージがあった。
並ぶ本を指でなぞりながら進む。
広い中、何人か見知った顔を見かけたが、図書館を利用する面々はいつもと同じで、静かな人ばかりで、だれも声をかけてはこなかった。
「ふう」
ひとつ大きく息をついて、上を見上げる。
ほしかった本は、背伸びをしても届きそうにないところにちょこん、と分厚い本に挟まれていた。
「おや、どうしましょうか」
小さく、小さく、ほとんど息の音しかしないくらいに小さい声で呟くと、回りに何か脚立がないか見渡す。
案の定、ない。
「どうしてこう・・・・」
目いっぱい、つま先で立ち、腕を上げる。
「無駄に、高い所に・・・」
この国ではおそらく普通なのだろうが、身長の低い国である自分にはとうてい届かない。
「置くので、しょうか」
くっと最後に伸ばした手も、本の下をかすって行くだけ。
はあ、とつま先をもとに戻し、ふいに視線の行く方向。
本の向こうに、彼が立っていた。
彼は反対側の本棚で本を読んでいたらしく、照れながら、にっこりと笑った。
「・・・・リトアニアさん・・・」
彼はここにずっといたのだろうか。そう思うと、なんだか恥ずかしくなり、心臓が早く打ちつけ、頬に熱がさした。
リトアニアさんはしばらくしてこちら側にやってくると、にっこりとまた笑った。
「どの本ですか?」
彼が言うので、タイトルを答える。彼はさっと、先ほどまで悪戦苦闘していた高さにまだツンとして挟まっている本を取り出して、
差し出した。
「あ、ありがとうございます。」
受け取り際に、さりげなく触れられた手がとても熱く感じる。
ここの温度も2度は高くなったのかも知れない。
「今日、ずっと日本さんが会議にこられるというので楽しみに待っていたんです。」
「そうですか?・・・言ってくださったら初めに窺ったんですが。」
「いいえ、日本さんも忙しいですから。会いたいときは俺が行きますよ」
そう言って彼が持っていた本をめくり、こちらに窺うようにある行を指差した。
「あ、」
彼が指差す文字は、愛の言葉。
他は難しい単語が並んでいるのに、突如現れたその文字にますます早鐘を打つ心臓。
「この本、面白いでしょう?縦に読んだときだけ、ここがこの言葉になるんです」
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きっと、自分の方がはるかに赤いだろうけれど。
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「・・・・・・はい」
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本棚の間を出ても、図書館のしんとした空気は変わらず、誰かがひそひそと話す声と足音だけが響いた。
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店名:三日月商會
アドレス:http://blaueterra.blog.shinobi.jp/
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