勿忘草
米日なような
ほぼ日本。
ほぼ日本。
これをあげるよ。
そういって目の前の背の高い男は言った。
私はありがとうございます、と言ってそれを手に取り、震える手で一思いに口に放り入れた。
苦い薬でも、たとえそれが劇薬だったとしても。私はそれを飲む以外の道が無かった。
早々に暮れた空が、物悲しくぐっと冷え込んだ空気をぴんと、今にも事切れてしまいそうな風を運んできた。
遠く暗い彼方の空を見上げると、ちかちか光る星の合間に何処ぞへ向かう飛行機の赤碧の光が見えた。
耳を澄ませばいま向かいを飛ぶ飛行機の、轟々と言う音が聞こえた。
日暮れを狙って押し寄せる空襲ようの爆撃機に怯えていた日々は遠い昔の話だ。
ごく少ない灯りでさえ、危険だからと、布を被せていた夜が懐かしい。
あっと言う間に消え失せた、人それぞれ個々の幸不幸はあれども、平和に暖かくくらしていたあの頃が夢のようだ。
縁側を、通り抜けた風が部屋のなかを泳いで、出口を探している。
「このままでは」
部屋どころか家中が冷え切ってしまう。
重い腰を起こし、座敷へ向けて体を返した。
向こうの方で、ごろ寝をしている金髪の男が、小さな声で「日本、愛してるよ…」と寝言を呟いた。
「大嫌いですよ、アメリカさん。」
そういって目の前の背の高い男は言った。
私はありがとうございます、と言ってそれを手に取り、震える手で一思いに口に放り入れた。
苦い薬でも、たとえそれが劇薬だったとしても。私はそれを飲む以外の道が無かった。
早々に暮れた空が、物悲しくぐっと冷え込んだ空気をぴんと、今にも事切れてしまいそうな風を運んできた。
遠く暗い彼方の空を見上げると、ちかちか光る星の合間に何処ぞへ向かう飛行機の赤碧の光が見えた。
耳を澄ませばいま向かいを飛ぶ飛行機の、轟々と言う音が聞こえた。
日暮れを狙って押し寄せる空襲ようの爆撃機に怯えていた日々は遠い昔の話だ。
ごく少ない灯りでさえ、危険だからと、布を被せていた夜が懐かしい。
あっと言う間に消え失せた、人それぞれ個々の幸不幸はあれども、平和に暖かくくらしていたあの頃が夢のようだ。
縁側を、通り抜けた風が部屋のなかを泳いで、出口を探している。
「このままでは」
部屋どころか家中が冷え切ってしまう。
重い腰を起こし、座敷へ向けて体を返した。
向こうの方で、ごろ寝をしている金髪の男が、小さな声で「日本、愛してるよ…」と寝言を呟いた。
「大嫌いですよ、アメリカさん。」
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