影
リトアニアの片思い。
露→←日←リト
露→←日←リト
*
*
降り積もる雪の気持ちなんて、一体誰が考えるだろう。
ましてやその下で冬を耐えている草の気持ちなんて。
風に吹かれる草原の気持ちも、雨に流される砂の城も、月の輝きも。
あなたの事が好きですと、そのたった一言でさえ此の口は紡ぐことを許さない。
それは多分、それを言ってしまえば全ては壊れてしまうことを知っているからだ。
あなたがあの人を見つめる訳も、あの人があなたにする全ての事も、理由を知っているから。
もしそれを知らなかったら、
あなたが彼に向ける笑顔の先があの人じゃなかったら
今更そんなことを考えても無意味だとは痛いくらいに知っているけれど。
それなら逃げ道のないこの醜い思いはどこに遣ればいい、
ずっしりと降り積もった、恋心と、叶わない想いへの苦渋、いつしかこの思考は押しつぶされる。
「あ、日本さん。お久しぶりです」
少し前を歩いている黒い艶やかな髪を揺らしている小さな彼。ぴたり、と足を止めて振り返るその仕草さえ何かと愛しい。
「、リトアニアさん。お久しぶりです、お元気でしたか」
「はい!この通り。EUに加盟してから物価が上がり気味ですけど…」
「そうですか…大変ですね…。私に出来る事なんて殆ど無いとは想いますが、何かあったら言ってくださいね。出来る限りで力になりますから。」
本当に深刻そうな顔をしてくれる。
俺の方が背が高いから、上から見下ろすような形になる。長い黒い睫が、頬に影を落として、彼の肌の白さを際だたせた。
長い睫が瞬く。
その肩に触れようとした、、
「リトアニア、…、日本くん!」
また、触れることすら叶わないまま。
「ろ、しあさん。」
それこそ向日葵のような笑顔を向けて、二人は少し足早に互いに向けて歩き出した。
そしてまた、積もるこの感情。
息が乱れ、噛んだ唇からは鉄の味がする。
どうにか息を整えても、目の前で繰り広げられる楽しげな会話を目に入れたらまたみだれてしまう。いつの日かこの動機が押さえられなくなる日が来るかもしれない。
そうしたらあなたは、どうしますか。きっとロシアさんの所へ走るんでしょうね。
「日本さん、ではまた」
わざとらしくロシアさんと話している日本さんにだけ挨拶をしてそばを通り抜けた。
後ろから「あれぇ~僕には何もないのかな~」なんて彼の前だけの純粋ぶった声が聞こえたが、無視した。
ロシアさんと俺なら、当たり前だが平和的接点があるのは俺だ。長い間耐えてきた俺なら、未だに体の一部を繋がれているあなたの気持ちも分かるのに。
あんなに楽しそうに話すなんて。
だんだんロシアさんだけでなく、彼にまで憎しみにも似た感情が滲み出した。
筋違いだ、いけないと理性では分かるのだが、奥底に眠る俺自身でさえ知らない狂気が、それを押さえ込む。
今すぐ二人を引き離して、彼の細い腕を強引に引いて走り出したい。
だめだ。
暴走する思考を断ち切るように、目を閉じた。
まぶたに暖かな感触がして、気がつけば涙が頬を伝っていた。
救いのない袋小路から、逃げ出すすべなど無いのだと、なかば諦めに近い。
こんな自分ではない自分に苦しむなら、それでも望みはないなら。
いっそ静かに見守り、愛し続けよう。
ひとめみてわかるほどにあなたのこころはだれのもの
ぼくはそのめをみるたびくるしさをおさえるだけだよ
いまさらあなたにぼくをすくうことができますか
ひとめみてわかるほどにあなたはだれにこいこがれ
ぼくはそのえがおのたびいきをととのえるだけだよ
*
降り積もる雪の気持ちなんて、一体誰が考えるだろう。
ましてやその下で冬を耐えている草の気持ちなんて。
風に吹かれる草原の気持ちも、雨に流される砂の城も、月の輝きも。
あなたの事が好きですと、そのたった一言でさえ此の口は紡ぐことを許さない。
それは多分、それを言ってしまえば全ては壊れてしまうことを知っているからだ。
あなたがあの人を見つめる訳も、あの人があなたにする全ての事も、理由を知っているから。
もしそれを知らなかったら、
あなたが彼に向ける笑顔の先があの人じゃなかったら
今更そんなことを考えても無意味だとは痛いくらいに知っているけれど。
それなら逃げ道のないこの醜い思いはどこに遣ればいい、
ずっしりと降り積もった、恋心と、叶わない想いへの苦渋、いつしかこの思考は押しつぶされる。
「あ、日本さん。お久しぶりです」
少し前を歩いている黒い艶やかな髪を揺らしている小さな彼。ぴたり、と足を止めて振り返るその仕草さえ何かと愛しい。
「、リトアニアさん。お久しぶりです、お元気でしたか」
「はい!この通り。EUに加盟してから物価が上がり気味ですけど…」
「そうですか…大変ですね…。私に出来る事なんて殆ど無いとは想いますが、何かあったら言ってくださいね。出来る限りで力になりますから。」
本当に深刻そうな顔をしてくれる。
俺の方が背が高いから、上から見下ろすような形になる。長い黒い睫が、頬に影を落として、彼の肌の白さを際だたせた。
長い睫が瞬く。
その肩に触れようとした、、
「リトアニア、…、日本くん!」
また、触れることすら叶わないまま。
「ろ、しあさん。」
それこそ向日葵のような笑顔を向けて、二人は少し足早に互いに向けて歩き出した。
そしてまた、積もるこの感情。
息が乱れ、噛んだ唇からは鉄の味がする。
どうにか息を整えても、目の前で繰り広げられる楽しげな会話を目に入れたらまたみだれてしまう。いつの日かこの動機が押さえられなくなる日が来るかもしれない。
そうしたらあなたは、どうしますか。きっとロシアさんの所へ走るんでしょうね。
「日本さん、ではまた」
わざとらしくロシアさんと話している日本さんにだけ挨拶をしてそばを通り抜けた。
後ろから「あれぇ~僕には何もないのかな~」なんて彼の前だけの純粋ぶった声が聞こえたが、無視した。
ロシアさんと俺なら、当たり前だが平和的接点があるのは俺だ。長い間耐えてきた俺なら、未だに体の一部を繋がれているあなたの気持ちも分かるのに。
あんなに楽しそうに話すなんて。
だんだんロシアさんだけでなく、彼にまで憎しみにも似た感情が滲み出した。
筋違いだ、いけないと理性では分かるのだが、奥底に眠る俺自身でさえ知らない狂気が、それを押さえ込む。
今すぐ二人を引き離して、彼の細い腕を強引に引いて走り出したい。
だめだ。
暴走する思考を断ち切るように、目を閉じた。
まぶたに暖かな感触がして、気がつけば涙が頬を伝っていた。
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こんな自分ではない自分に苦しむなら、それでも望みはないなら。
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ぼくはそのえがおのたびいきをととのえるだけだよ
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西條事情
店主:西條
リンク:同人サイト様のみ
店名:三日月商會
アドレス:http://blaueterra.blog.shinobi.jp/
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