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ウラジオストクの休日

露日ぐだぐだ



日本から行く一番近いヨーロッパと言えば、もちろんロシアだろう。

新潟から三時間あればついてしまう。

だからと言うわけではないけれど、何故か私はウラジオストクの空港に降り立っている。

別に嫌々と言うわけではないのだけども。

「お~い、日本く~ん!こっちこっち!」

空港の入国ゲートを出てすぐに、大きな躰の人たちの中から聞こえてきた聞き慣れた声。

どこだどこだと見渡すけれど、背の高い人間が多いせいで彼が見当たらない。

「…ロシアさん、」

ぐるぐるとその場を見渡すけれど、やはり。

「いらっしゃい。」

「わっ!」

突然耳元でした声に驚きの声をこぼすと、すぐ近くでやわらかい笑い声がした。

「…驚くじゃないですか」

見上げると、「あはは」と紫色の瞳を細めて笑う。

「はあ、笑った笑った。改めて、いらっしゃい~」

「はあ。どうも。ところで、何ですかそれ。」

「これ?薔薇の花束。」

「それは見ればわかります。」

何故それを持っているのかと言うのが質問の意味なのだ。
ロシアは真っ赤な薔薇の花束を片手に下げていた。他にもちらほら花束や一輪の花を持って佇む男性はいるが。

「ベラルーシさんと此の後お約束でも?」

「ベラルーシ?何で?これは君のだよ」

当然女性にあげるんだろうから、ロシアの妹のベラルーシの家に、私をホテルまで案内した後にでも行くのだろうと思っていた。

「私…にですか?」

恐る恐る差し出された薔薇に手を出そうとした時。

近くにいた花を持った男のところに、お待たせ!と言った風情の女が駆けてきた。当然というのか、男は花を彼女に渡し、二人は腕を組んでどこかへ歩いて行った。

「…」

「…ロシアでは、男女が連れ合って出掛ける時に、男性は花を贈るんでしたね。確か。」

「……う、ん」

「私は男です。」

「知ってるよ~。でも、大丈夫だよ。日本くん小さいし、女の子にしか見られないよ~」

しまった!と口を押さえても後の祭りだろう。私の耳にはしっかり届いている。

「…帰ります。」

「あっ待って!ヤだよ帰らないで~!楽しみに待ってたんだから~」

ぐいぐいと力が強いくせに容赦なく引っ張るから、ちっとも前に進みやしない。

そのうちもう服までよれてしまうし、何だ何だと集まる人に、ロシアが「兄ちゃん、女の子にゃ優しくしねえと~」なんて小突かれているし。

「ロシアさん、離しなさい!」

「やだー」

「いいから!帰りませんから」

その一言でぱっと手を離してそのまま抱き抱えられてしまった。
ああ悔しい!腕に座れるなんて何のアニメですか畜生!悪態をついても仕様がない。

しかしまあ、嬉しそうだしいいとしようか。

どうせ欧米から見れば日本人なんて子供に違いないのだから。諦めてしまおう。



いつもと違って明らかに高い視点でみる世界は、何だか新鮮極まりなかった。



「鉄道でモスクワまで行く?飛行機にする?」

「そうですねぇ…今回は沢山時間を取りましたから、鉄道にしましょうか」

そうだね、という返事と共に、余計にキスを送ってくる。周りに人が居ないのを確認して、触れるだけの口付けを返した。











「こらっどこを触って…!」

「えへへ~日本くん柔らかい~」

個室じゃ逃げ場がないじゃないか。

先行きが不安だ。
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