365題
32から37、44から45まで
多少暗めの表現あり。
いろいろ詰め合わせですが日本受けおんりー
多少暗めの表現あり。
いろいろ詰め合わせですが日本受けおんりー
032. ほしのゆくさき
空を見上げる。
辺りは暗く、虫の羽音さへ無い。
生き物の気配は遠く、眠ったままの小さな小さなそれらの吐く息は、闇夜に溶け
て届かない。
聞こえるのは、この胸の鼓動と、呼吸音。
目を、閉じる。
瞼の裏側には満天の星空。
空を、見上げた。
落ちてくる星はみな彼の住まう国の方向へ向かう。
黒髪の、小さく美しい彼の元に。
じりり、と、右手が痛んだ。
「君を思うとこんなにも、繋いだ右腕が痛いよ…」
今頃、彼も、僕と繋がる左手首を痛めているんだろうか。
露日と言い張る
033. 踵
深夜、どうしても寂しくなって、哀しくなって、吹雪の止まない外へ出た。
このままここで凍死でもしたら、彼はあの小さな顔をくしゃくしゃにして、声も大きく泣くだろうか。それとも、何も言わず、ただ静かに涙をながすのか、それとも。
ここはあまりにも冷たすぎる。
誰にも理解されないまま、嫌われたまま、ずっと孤独。
ようやく指切りをした約束も、時の上司によって裏切られる。
そしてまた、嫌われてしまった。
寂しくないよ、寂しくない。寂しくない、寂しくないよ。
言い聞かせても。
こころに空いた風穴は冷たい風を突き通して。
どこか、暖かい、人のところに行きたい。
真夜中の吹雪の中を、その人の元へと踵を返す。
日本、日本。
「会ったらまず、抱きしめてずっと好きだよって、言おう。」
何気に「言うつもりもないけれど」に繋がっていたり。
034. 生体人形
035. いち、に、さん
036. 苗床
ぐらり。
一気に地面が近くなった。
「ほしたら、そのままここで待っとってな〜!すぐかえってくるで!」
そう言うと、スペインはぱたぱたとかぶっていた麦藁帽子を飛ばす勢いで走って
行った。
太陽の光は強いが、日本ほど湿度がないのでからっとしていて気持ちがいい。
そうこうしているうちにすぐにスペインが戻ってきた。
息もあらく額には珠の汗。
「すみません…急がせるつもりは…」
「何言うとんの!日本、早ようこれ飲んで!体冷やさな!」
横たえた体の、適切な箇所に冷えた氷を当ててゆく。
差し出されたコップを持つも、横になっているから…どうしたらいいのやら。
困り果てていると、それに気がついたのか、
「あっごめんな!飲めへんよな…あ〜ど、うしよか…」
「すみません…御世話をかけます」
「ええんよ!日本、ほなすまんけど、怒らんといてな」
「え」
「何か…あかん、日本。」
やっとの思いで起き上がったら、困り顔のスペインさん。
(びっくりしたのはこちらです。いいいいきなり、薬の為とは言えっ)
「…」
「も〜なんなん!可愛いすぎるで!」
037. 言うつもりもないけれど
目が覚めたら、そこは、吹雪の中の自宅ではなく、花が咲き乱れる日本君の家だ
った。
「あれぇ…僕、何でここに…」
見回すと、畳の上に敷かれた布団。障子は開け放たれて、暖かい空気が外から入
ってきていた。
「何故…それはあなたが昨日いきなり夜中にやってきて泊めろ、と言い勝手に私
の家に上がり込んだからじゃないですか」
「あ、日本、くん」
「……、おはようございます。気分は如何ですか」
ふうっと優しくため息をついた日本君はしなやかな動作で枕元に正座する。
しばらく見とれてしまった。
「うん、とてもいいよ。…でも、僕にそんな記憶ないなぁ〜…」
「まぁ、いいですけど。朝ご飯はどうですか、食べれそうですか。」
「うん、食べるよ!」
笑顔で答えると、日本くんは少し怪訝な表情をして立ち上がった。
「では、用意は出来ていますから、こちらへ」
布団をあけてから気がついた、いつの間に着替えたのか記憶にないけれど、これは確かに着物、というやつだ。
「ちょっとこれ、丈が短くないかな?」
「.....仕方ないでしよう、私は見ての通りですし、貴方より身長の高い人はいないんですから。....それは以前アメリカさんがいらっしゃった時に作ったものです。」
「....じゃあいらない。脱ぐ」
「はあ?何を言っているんです?我慢して下さい。...それに、今貴方の服はそれしかないですよ。昨日お召しだった服は雪まみれ泥まみれだったので洗濯して干しているところですから。」
さ、早く、と背中を押されて、食事の用意してある机に向かう。
背中に置かれた小さな手が、とてつもなく暖かく感じて、すこしだけ、冷えたこの心に灯が灯った気がした。
044. そんな日常
「スーさん、明日、日本さんをそちらに連れて行ってもいいですか?」
電話越しに、フィンランドの声が柔らかく響いた。
「ん。」
答えた瞬間、受話器の向こうから、彼の嬉しそうな声が少し遠くに聞こえる。
(kiitos!日本さん、スーさんがいいですよって!)
(よかった。ダーラナ地方へ行きたいですし…何日かまた滞在したいですね)
(joo!)
「じゃあ、ついたらまた電話しますから!moi moi!」
一方的に切られた電話。受話器を見つめた。
忙しくなりそうだ。けれど嫌じゃない。
新聞を畳んでほい、と机に置いて、準備をするべくキッチンへと歩き出した。
045. 汚染物質
「ここ、かな」
びくり、と肩が震えて、上から手が阻んでくる。
けれどそれも予想の範囲内だから、何でもない。
「ほら、こんなになってるじゃないか。」
「や、めてくだ、さ」
阻んでくる手を押しのけて、そこにガリ、と爪を立てた。
「いいいいいいいいぃぃいい!」
未だ治っていないひどく焼けただれた皮膚から、じんわりと膿みと血が流れ出た。
「痛い?」
肩で息をする日本を見ながら、看病を続ける自分に、矛盾を感じて苛立は募る。
傷つけたのは自分。
偽善なのか、これは。
涙を流しながら、遠くを見つめる彼に、少しだけ笑みがこぼれた。
これで、ずっと二人。
空を見上げる。
辺りは暗く、虫の羽音さへ無い。
生き物の気配は遠く、眠ったままの小さな小さなそれらの吐く息は、闇夜に溶け
て届かない。
聞こえるのは、この胸の鼓動と、呼吸音。
目を、閉じる。
瞼の裏側には満天の星空。
空を、見上げた。
落ちてくる星はみな彼の住まう国の方向へ向かう。
黒髪の、小さく美しい彼の元に。
じりり、と、右手が痛んだ。
「君を思うとこんなにも、繋いだ右腕が痛いよ…」
今頃、彼も、僕と繋がる左手首を痛めているんだろうか。
露日と言い張る
033. 踵
深夜、どうしても寂しくなって、哀しくなって、吹雪の止まない外へ出た。
このままここで凍死でもしたら、彼はあの小さな顔をくしゃくしゃにして、声も大きく泣くだろうか。それとも、何も言わず、ただ静かに涙をながすのか、それとも。
ここはあまりにも冷たすぎる。
誰にも理解されないまま、嫌われたまま、ずっと孤独。
ようやく指切りをした約束も、時の上司によって裏切られる。
そしてまた、嫌われてしまった。
寂しくないよ、寂しくない。寂しくない、寂しくないよ。
言い聞かせても。
こころに空いた風穴は冷たい風を突き通して。
どこか、暖かい、人のところに行きたい。
真夜中の吹雪の中を、その人の元へと踵を返す。
日本、日本。
「会ったらまず、抱きしめてずっと好きだよって、言おう。」
何気に「言うつもりもないけれど」に繋がっていたり。
034. 生体人形
035. いち、に、さん
036. 苗床
ぐらり。
一気に地面が近くなった。
「ほしたら、そのままここで待っとってな〜!すぐかえってくるで!」
そう言うと、スペインはぱたぱたとかぶっていた麦藁帽子を飛ばす勢いで走って
行った。
太陽の光は強いが、日本ほど湿度がないのでからっとしていて気持ちがいい。
そうこうしているうちにすぐにスペインが戻ってきた。
息もあらく額には珠の汗。
「すみません…急がせるつもりは…」
「何言うとんの!日本、早ようこれ飲んで!体冷やさな!」
横たえた体の、適切な箇所に冷えた氷を当ててゆく。
差し出されたコップを持つも、横になっているから…どうしたらいいのやら。
困り果てていると、それに気がついたのか、
「あっごめんな!飲めへんよな…あ〜ど、うしよか…」
「すみません…御世話をかけます」
「ええんよ!日本、ほなすまんけど、怒らんといてな」
「え」
「何か…あかん、日本。」
やっとの思いで起き上がったら、困り顔のスペインさん。
(びっくりしたのはこちらです。いいいいきなり、薬の為とは言えっ)
「…」
「も〜なんなん!可愛いすぎるで!」
037. 言うつもりもないけれど
目が覚めたら、そこは、吹雪の中の自宅ではなく、花が咲き乱れる日本君の家だ
った。
「あれぇ…僕、何でここに…」
見回すと、畳の上に敷かれた布団。障子は開け放たれて、暖かい空気が外から入
ってきていた。
「何故…それはあなたが昨日いきなり夜中にやってきて泊めろ、と言い勝手に私
の家に上がり込んだからじゃないですか」
「あ、日本、くん」
「……、おはようございます。気分は如何ですか」
ふうっと優しくため息をついた日本君はしなやかな動作で枕元に正座する。
しばらく見とれてしまった。
「うん、とてもいいよ。…でも、僕にそんな記憶ないなぁ〜…」
「まぁ、いいですけど。朝ご飯はどうですか、食べれそうですか。」
「うん、食べるよ!」
笑顔で答えると、日本くんは少し怪訝な表情をして立ち上がった。
「では、用意は出来ていますから、こちらへ」
布団をあけてから気がついた、いつの間に着替えたのか記憶にないけれど、これは確かに着物、というやつだ。
「ちょっとこれ、丈が短くないかな?」
「.....仕方ないでしよう、私は見ての通りですし、貴方より身長の高い人はいないんですから。....それは以前アメリカさんがいらっしゃった時に作ったものです。」
「....じゃあいらない。脱ぐ」
「はあ?何を言っているんです?我慢して下さい。...それに、今貴方の服はそれしかないですよ。昨日お召しだった服は雪まみれ泥まみれだったので洗濯して干しているところですから。」
さ、早く、と背中を押されて、食事の用意してある机に向かう。
背中に置かれた小さな手が、とてつもなく暖かく感じて、すこしだけ、冷えたこの心に灯が灯った気がした。
044. そんな日常
「スーさん、明日、日本さんをそちらに連れて行ってもいいですか?」
電話越しに、フィンランドの声が柔らかく響いた。
「ん。」
答えた瞬間、受話器の向こうから、彼の嬉しそうな声が少し遠くに聞こえる。
(kiitos!日本さん、スーさんがいいですよって!)
(よかった。ダーラナ地方へ行きたいですし…何日かまた滞在したいですね)
(joo!)
「じゃあ、ついたらまた電話しますから!moi moi!」
一方的に切られた電話。受話器を見つめた。
忙しくなりそうだ。けれど嫌じゃない。
新聞を畳んでほい、と机に置いて、準備をするべくキッチンへと歩き出した。
045. 汚染物質
「ここ、かな」
びくり、と肩が震えて、上から手が阻んでくる。
けれどそれも予想の範囲内だから、何でもない。
「ほら、こんなになってるじゃないか。」
「や、めてくだ、さ」
阻んでくる手を押しのけて、そこにガリ、と爪を立てた。
「いいいいいいいいぃぃいい!」
未だ治っていないひどく焼けただれた皮膚から、じんわりと膿みと血が流れ出た。
「痛い?」
肩で息をする日本を見ながら、看病を続ける自分に、矛盾を感じて苛立は募る。
傷つけたのは自分。
偽善なのか、これは。
涙を流しながら、遠くを見つめる彼に、少しだけ笑みがこぼれた。
これで、ずっと二人。
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