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そのときは抱きしめて

真実、愛を語るには幼すぎたのツナサイドです
*
*

なぜ、とか、嫌だ、とかそんな言葉を言えば本当にこれで終りになってしまいそうな気がした。

言いたくても言えないからか、胸が潰れそうだった。



もうこれは、笑うしかない。



自分には少しも原因がないなんて思わないから、せめて別れを告げるという胸の痛い作業をさせてしまう彼を気持ちよく送り出したいと思った。

だから、へらり、と笑う。



「リボーン、さよなら、なんだね」



これでこの関係は消える。

明日からは心を氷にして、二度とリボーンへのこの感情が動き出さないように、有能な、弱点のない十代目になろう。

しかしそれはやるせなく、力なく瞼を閉じる。

目を開けて見つめれば、涙が知らずと流れて行きそうな気がするから。

「ああ」

リボーンが言う。

視線を上げたら、泣きそうなリボーンの顔。

嗚呼、まだこんなに愛してるのに。他の誰でも代わりになれない。もう一生誰も愛せないくらいに、強く、愛していると言えるのに。

それでも、隣にいさせて欲しいのに、選んだ道は違えて。



「そっか」

「ツナ」

「さよなら」



リボーンはひとつ頷くと、踵を返して歩き出す。夜明けを知らせる朝焼けが、世界を茜色に染めて、いつの間にか溶け込むように彼の姿は消えて行った。



「仕方ない、仕方ないよ」



涙と共に、奇妙な笑いが込み上げて、

「あはっ…あはははは、」

最後には崩れ落ちてしまうまで、なき続けた。





そしてそこから後は、普段の、そう、まったく普段の彼に戻ったのだ。

側近逹にとっては不自然過ぎて気持ち悪いくらいに。

ボンゴレ十代目として、リボーンを雇うことは度々ある。

けれど、今までのようなファミリーに対して…ファミリー以上に対しての対応とは全く違う。

何せ、「今回の件は…そうですね…リボーン…さんに依頼をしてみてはどうでしょう」と、リボーンが去ってから初めて獄寺が言うのにも、うんと頷いたものだから、やはり二人は…と思った誰もが驚く程に、二人は初対面を貫いたのだ。

「…初めまして、ボンゴレファミリー十代目当主、沢田綱吉です。…お噂はかねがね、聞いております」



一瞬、ぴり、とリボーンの周囲の空気が凍ったのもつかの間、どっしりとソファに腰を下ろし、にんまりとニヒルな笑みを浮かべて

「ああ、こちらこそ。」

と言った。

リボーンは相変わらず黒いスーツをきっちりと着こんでいて、少しも変わったようなところは無かった。

「これからは度々貴方に依頼をすることもあるでしょう、宜しく、」

言って鮮やかに笑ってみせる綱吉は、というと少し痩せて、以前から白かった肌は、病的に見える程にまた白さを増した。

ふんわらとして幼さを残していた頬もすっきりとして、暖かい瞳はそのままに、鋭くなった。

それは彼が戦う時だけに纏う空気を、四六時中纏っているようなもので、可愛い、よりも美しい、と称した方が適切な位だ。

対峙する二人を見て、獄寺はひとつ、ため息をついた。





(本当に二人は路を違えたのですね。)




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