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悪魔の恋人

リボツナ。ちょっとツナが怖いかも知れない.....。嫉妬の話ですがまだリボツナに成っていなかった頃にリボツナになるきっかけ的な話...?です多分。
*
*

最初に綱吉に愛人を紹介したのはいつだったか。

いつまでも愛人どころか恋人さへ持とうとしない禁欲的な姿勢に、そろそろ敵対ファミリーだけでなくファミリーの古参の中にも不信感を抱く者が出始めたのだ。

総じて、マフィアというやつは愛人の有無もステイタスに左右する。

多ければ多い程いいて言う訳ではないが雰囲気的にはそのようなものだ。

何人もの女を抱えても組織を揺るがさない、いざとなれば切り捨てるというのが粋なボスのありかたである。

再三愛人を作らないのかとファミリーの年配者に言われても作り笑いで逃れてきた綱吉に、もうそろそろこっちの方面でも教えてやらねばならないなと思い出していたところだった。

「ドンはいまだに愛人の一人も居ないと聞くが…本当だとしたらやはり日本人らしいというかなんというか…甲斐性が無いというか」

「それは私も思っていたところだ。他のファミリーにはボンゴレのボスは男を相手にしているという噂まであるくらいだ。愛人が居ないのは日本から連れてきた守護者が相手だからとも…」

「…君からは何も言っていないのか、アルコバレーノ、リボーン」



ということだった。



「綱吉、俺の愛人を紹介してやる。まだ手を付けてねぇ女だ。調度いいだろ」

「いらないよ、リボーン」

即座に返ってくる拒否の言葉。

「けどな…おまえ、このまま経験のないままじゃ、敵対ファミリーにつけこまれるぞ」

「女が居たってそれは同じだろ。とにかく俺は愛人なんていらないよ」

明らかに嫌悪の隠った表情で苦々しく言うのは何故なのか、この時は解りもせずに、

「聞き分けのねーこと言ってんじゃねーぞ。こりゃ命令だ。死にたくなけりゃ、ついてこい」

と言って、結局、銃をつきつけてつれて行くことになったのだった。

後は事細かに話さずとも、愛人が上手く誘って、本能の赴くままに獣になればいいだけ。

決して女好きという訳ではないが昔から愛人が多く居たのでそういうことには知識も経験もあったから、敢えて言うことでもないと分かるのだ。



しかし。その愛人のところから綱吉が帰ってしばらくしてその女は死んだ。心の病にでもかかったのか自ら命を絶ったのだと言う。



「…死んだんだね、あの人」

そう言う綱吉の顔には、いつも抗争で戦う時に必ず眉間に皺を寄せるという癖が嘘のように人の死などなんとも小さな出来事だというように表情がなかった。

そしてにこり、と凍てつく笑顔で

「また、紹介してよリボーンの愛人。何人も居るんだから」

と言った。

「てめぇと女を共有する気はねぇな。自分で探せ」

「…………そう、だね」



綱吉は執務机の引き出しの中にある女の名前と居場所等がいくつも書かれた紙を、指先で、それと知れないように優しく撫でた。







「お前は俺の愛人の掃除でもしてる気なのか」

銃独特の重い音をさせて、それが額に押しあてられた。

執務室に入るなりつかつかと綱吉の座る執務机の向こう、椅子までやってきて、立とうともせず慌てる様子もない綱吉にまたぞろ苛々を募らせながら壁際に追いやるように椅子を滑らせてリボーンは言う。

「……さぁ、どうだろう」

似つかわしくない嫌な笑顔を浮かべる綱吉に、再度「どういうつもりだ」と問いかければ、仮面が剥がれたように気持ちの悪い無表情よりものっぺりとした顔になる。

「どうせ答えなくても分かるだろ、お前なら」

人形が喋る。

「んだと…」

微かに、綱吉は震えていた。

「あの人が言ったんだよ。リボーンに殺されたいって。でもリボーンを独り占めできるような貴方は殺させないって。」

「…あ?」

「リボーンに殺されたら、リボーンの中でずっと綺麗できらきらしたまま住んでいられるって、言ってた。リボーンの中で生きられるから私は幸せだって。でも貴方はリボーンを殺すからリボーンの中には入れてもあげないって。」

嫉妬女の醜い戯言だった。

「………そんなに俺が好きか、ツナ」

笑顔が溢れた。

なんて愚かで可愛い、愛しい主人で生徒だろう。

未だかつてこんなに激しい独占欲を示されたことなんて一度もない。

キラキラな思い出で美しいまま残るというその女を無いものにするくらいに、激しい独占欲。中に残るのは自分だけだという我が侭で馬鹿馬鹿しい嫉妬。

「好きだよリボーン。初めてこんな勝手な意見で人を消すくらいに…………ごめん、なさい」

「なんで謝る…泣くなダメツナ」

「泣いてない」言いながら溢れる涙を見られまいと必死に顔を背けるその仕草。

「愛人全部切っても余りあるくらいの極上の恋人が俺に出来たんだ。喜べよ」



ずっと心の奥底で求めていたものがふと手に入ったのだとリボーンは思った。



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